<語る> ◇古武道と霊性と信仰◇ 笹森建美 2008年9月20日

霊性を探求する人たちが座禅や瞑想に関心を寄せている。欧米では、霊性だけでなくキリスト教信仰の在り方と、日本の古武道とに関心を深める兆しが顕著になっている。
 牧師であると同時に、小野派一刀流、林崎流、直言流の宗家であるわたしに、国内外でこの面での発言が求められる機会が多い。
 牧師であることと、武道家であることに矛盾はないのかとの質問もよく受ける。疑問を感じる人たちは、「武道とは破壊するもの」と思っているようだ。自己の利益のために、剣を以って人を滅ぼす者は、剣を以って滅ぼされるであろう。しかし、日本の武道の目的は、悪を断ち、公義と平和を確立することにある。
 古く伝わる武道書『闘戦経』は「兵は本、禍患を杜(ふさ)ぐにある」と述べ、自己の利益のために搾取、殺戮、破壊するのは武の道ではなく、人の世の安寧、平和を樹立する創造の業が兵、武の道であると説いている。
 また、武は宇宙の絶対的真理の下にあるとも述べている。剣の道は、人を絶対者の前に謙虚にさせ、柔和にし、創造の業に従事させるものといえる。

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