「〝正しい戦争〟ではなかった」 帰還米兵、イラクでの体験を証言 2009年10月3日

「〝正しい戦争〟ではなかった」 帰還米兵、イラクでの体験を証言 2009年10月3日

 「実際には『戦争』ではなく『占領』だった」――イラクの帰還米兵アダム・コケッシュ氏(27)が9月16日、議員会館での集会で、戦場で経験した「イラク戦争」の実態を証言した。集会を主催したのは、帰還米兵の証言をまとめたDVD「冬の兵士」(田保寿一監督)の製作委員会と市民らでつくる「冬の兵士証言集会東京」。
 コケッシュ氏は元海兵隊3等軍曹。1999年、17歳で海兵隊に入隊、2004年にはイラクの復興支援に貢献したいと民事部隊への配属を志願し、2月から7カ月間ファルージャにも配備された。帰国後は、反戦イラク帰還兵の会(IVAW)のメンバーとなり、07年にはワシントン市の路上で、市民に手錠をかけ頭から袋をかぶせるという現地での任務を再現した反戦アピールにも参加した。
 入隊前から授業を欠席して反戦デモに参加したこともあるというコケッシュ氏だったが、「政府の
プロパガンダのおかげで、海兵隊は平和を作る仕事だと思い込んでいた」とふり返る。
 04年4月の「掃討作戦」にも居合わせ、検問所の警備を担当した。民間人への被害を最小限にとどめるための交戦規程も、ファルージャの攻撃期間中は「暗くなってから動くものは何でも撃っていい」という段階までなし崩し的に変えられていったという。実際、夜の火災現場で消火活動をする現地の警察官や消防隊員にまで銃口が向けられた。
 介抱した兵士が出血多量で死んだ体験を踏まえながら、「アメリカの現状は内出血。外交上の失政は、政府の腐敗によって起きている一つの症状にすぎ、問題は表面的でなく複雑化している」とコケッシュ氏。
 誕生したばかりのオバマ政権については、イラク撤退の予定を先延ばしにしていることなどを挙げて厳しく評価し、「『チェンジ』はわたしたちが期待したものではない。政権党の名前が変わっただけ。日本でも政権交代があったが、憲法9条が生かされるために実質的な変化が起こることを期待している。アメリカの占領政策が現地での助けになっているというプロパガンダにだまされないでほしい」と訴えた。
 自身はユダヤ人だというコケッシュ氏。「侵略戦争には反対。キリスト者のいう『正しい戦争』の基準に反する戦争は、倫理的に間違っている」と語る一方、「その基準を当てはめれば、歴史上『正しい戦争』はなかった。少なくとも、イラクやアフガニスタンでの戦争は明らかに間違い」と述べた。
 「混乱するアフガニスタンから撤退しても大丈夫か?」との質問には、「そうした認識こそがプロパガンダの成果」とした上で、「米軍自体が混乱の原因。瀬戸物屋に牛が飛び込んだとき、牛を放置したまま壊れた瀬戸物を直しますか?」と答えた。

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