聖公会京都教区 性的虐待事件 元牧師に「終身停職」 審判廷は事実認定避ける 2009年12月12日

 日本聖公会京都教区に属していた元牧師が1982年から複数の女児に対し継続的に性的虐待を行った事件で、今年3月の日本管区小審判廷(中村豊審判長)による「差し戻し」を受けて開かれた京都教区審判廷(高地敬審判長)は11月16日、4件3名の申し立てについて時効などを理由に3件を棄却、他の1件について元牧師を「終身停職」とする判決を言い渡した。申立人らはこの審判を不服とし、管区審判廷に控訴した。
 教区審判廷は昨年9月、元牧師の終身停職などを求めた申し立てに対し、書類の不備を理由にいずれも却下したが、申立人らの不服申立を受けて今年3月に開かれた管区審判廷では、教区審判廷で再審理することが決定していた。
     ◆
 京都教区は2005年当初、加害者である元牧師への処分について「性的虐待行為及びPTSD罹患に関する独自の事実認定が困難」との判断により、「教会として信仰上最も重い処置」として「陪餐停止」を決定。今回の審判では「真摯な謝罪がないこと自体が加害行為に匹敵するものと認めざるを得」ず、「現行法規によれば、最も重い終身停職が相当である」とした。ただ、すでに元牧師が依願退職していることから、退職許可の撤回を京都教区に勧告している。
     ◆
 Aさんら被害者側の代理人である鎌田雄輝氏(南三原聖ルカ教会司祭)は今回の審判について、「懲戒を行なうのであれば、被申立人の問題となる事実を明示し、その事実を証明する根拠を明示しなければならない」と強調し、「性的虐待行為に関しては、何を事実認定の根拠とするかは別として......」「仮に被申立人の行為と、AさんのPTSD罹患とに因果関係があり......」などの表現により、虐待の程度やPTSDとの関係、元牧師による謝罪手紙の証拠能力などについて「事実認定」を避けたと指摘。
 さらに、「真摯な謝罪のないことは加害行為に匹敵する」との判断については「罪を誤魔化しつつ、さも申し訳なさそうに振舞うのは被害者にとって怒りをもたらし、不愉快なだけ」「神の赦しと人との和解をもたらす謝罪とは......態度において済まなそうにすることではなく、何遍も謝ることでもない」と批判。「原審判は被申立人の誤魔化し行為に同調したのであるから、......被申立人の罪を京都教区が負うことになる」と主張し、審判の判断「破棄」と「再審理」を求めた。
     ◆
 この教区審判廷を巡っては、訴えを受けている京都教区自身によって運営されているため、身内を裁くことの限界性を指摘する声もある。代理人らは審判が教区に差し戻された時点で審判員忌避を求めたものの、教区審判廷の判断で退けられた。また、管区審判廷が申し立ての却下を不当と認め、取り消したのに対し、教区審判廷では依然「申立書の不備」を確認している。鎌田氏は「管区審判廷は聖公会の法的秩序に公然と反抗する京都教区審判廷の行為を認めるべきではない」と指摘する。

 詳しくは紙面で