エキュメニカル総主教がモスクワ訪問 ロシア教会と関係修復へ 2010年6月5日

 【モスクワ=ENI・CJC】コンスタンティノープルのエキュメニカル総主教バルトロメオス1世が5月22日、モスクワを訪問した。旧ソ連時代とソ連崩壊後の地政学的な混乱に基づく緊張が数十年続いた後で関係修復を促進するものと期待を集めている。
 ロシア正教会は、世界最大の正教会。またエキュメニカル総主教は、正教会では最重要な象徴とみなされている。しかしモスクワ側は、エキュメニカル総主教をローマ・カトリック教会の教皇に相当するものとされることには抵抗している。
 ロシア外務省の大学MGIMOにある「教会と国際関係研究センター」の責任者である歴史学者のアンドレイ・ツボフ氏は21日、ロシア教会が継承したソビエトの遺産を克服するためにキリル総主教が働いている、と語った。
 2009年2月、総主教に着座したキリル1世は、7月にはイスタンブールのエキュメニカル総主教にバルトロメオス1世を訪問。そこで双方は、相違点を脇に置き、世俗的な悪に対する正教会の連合戦線結成を協議している。
 バルトロメオス1世のモスクワ訪問は、正教会のヒラリオン府主教のバチカン(ローマ教皇庁)訪問直後に行われた。ヒラリオン府主教は、モスクワ総主教座の対外教会関係部門の議長としてはキリル1世の後任であり、5月20日にバチカンで行った演奏会には教皇ベネディクト16世も出席した。ローマ滞在中に、ヒラリオン府主教は、自分の目的はキリル総主教と教皇との会談だ、と述べている。
 ソ連の崩壊以来、正教会内の裁知権をめぐる対立から、エストニア、ウクライナなどでは国家の独立に伴い、教会もモスクワ総主教座から離れ、自立を志向する動きに火がついた。他のヨーロッパ諸国では近年ロシア人の流入で教会分割や財産紛争を引き起こしている。またモスクワ総主教座の支配が強まるにつれ、それに反対する側がエキュメニカル総主教座を「避難所」とするようにもなっている。

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