映画『はだしのゲンが見たヒロシマ』完成 2011年7月23日

中沢啓治さん“原発は制御できない”

 広島での被爆体験から『はだしのゲン』を生み出した漫画家・中沢啓治さん(72)。このほど、自身の生い立ち、被ばく体験から同作を描くまでの半生を語ったドキュメンタリー『はだしのゲンが見たヒロシマ』が完成した。6月30日、都内で記者会見が行われた。

 1945年8月6日。中沢さんは国民学校1年生であった。原爆投下時、奇跡的に助かったものの、崩れてきた家の下敷きになり、父、姉、弟は死んでしまう。この情景は、漫画でも生々しく描かれている。

 『ゲン』の誕生には、中沢さんの母の死が大きく影響しているという。それは漫画家として軌道に乗ってきた頃のこと。原爆病院に入院していた母が亡くなり、火葬した骨は粉々に砕けて残らなかった。「原爆は骨まで奪う」と怒りがこみ上げてきた。それまでは原爆者差別もあり「原爆」そのものを遠ざけてきたというが、自分にできることは、「漫画で原爆をとっちめること」と一念発起。

 1973年から連載が始まった『はだしのゲン』は、3度の中断と複数の出版社を経て、1987年に全10巻で完結。

 戦争や核兵器廃絶のために漫画が果たす役割を訴える中沢さんは、「文章だと読みづらい子も、漫画だとすんなり入っていける」と語る。

 小さな子どもが送ってくる手紙に「もっともっと描いて戦争と原爆を教えてください」と書かれていると「本当にうれしい」し、「落ち込んでいるときに読むバイブル」と感想を寄せた女子高生もいる。麦のように力強く生きるゲンに勇気付けられるのだという。

 福島の原発事故について話が及ぶと、「(原発は)人間が制御できる段階ではない。昔から反対している」とし、「政府にはきちんと隠し事なく話せ、と言いたい」と批判した。『はだしのゲンが見たヒロシマ』は8月6日からオーディトリウム渋谷で公開予定。

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