カトリック定例司教総会 貝塚教会での捜査・逮捕に対し「要請書」 2012年7月14日

 カトリック教会は、2012年度の定例司教総会を6月19~22日、日本カトリック会館(東京都江東区)で開催した。カトリック新聞(7月1日付)が伝えた。

 全国16教区から17人の司教と男女修道会代表のオブザーバーらが参加。5月27日にカトリック貝塚教会(川崎市)で起きた、警察官による教会敷地内での捜査、および外国人信徒の逮捕行為について、横浜教区の梅原昌弘志司教から報告された。

 日本の教会として同様の事例の再発防止を求め、同日付けで「要請書」を国家公安委員会委員長と警察庁長官宛てに提出することを承認した。

 さらに、高山右近の早期列福を求める全司教連名による要望書を教皇庁列聖省長官アンジェロ・アマート枢機卿宛てに提出することを承認。列聖列福特別委員会委員長(大塚喜直司教)を責任者として、右近の列聖運動に関連し、日本カトリック司教協議会が募金活動を今秋から行うことを承認。

 ほかには、教皇ベネディクト16世の意向に従い、今年10月からの「信仰年」に取り組むことなどが決議された。

 

〝国家権力による宗教活動の妨害〟

 カトリック貝塚教会(川崎市)で5月27日に発生した、教会敷地内での警察官による令状なしの捜査、逮捕行為について、国家公安委員会委員長および警察庁長官宛に、日本カトリック司教協議会会長(池長潤大司教)および会員一同名で提出した「要請書」は次のとおり。カトリック新聞が報じた(7月1日付)。

要請書
第1 要請の趣旨
 日本カトリック司教協議会はローマ教皇庁のもとに設立された協議会で、日本におけるカトリックの教会及び修道会を包括し、その連絡提携を図り、宣教及び宗教活動の推進等を行うことを目的としています。
 さる2012年5月27日(日曜日)午後12時30分ころ、カトリック横浜司教区のカトリック貝塚教会において、神奈川県川崎臨港警察署職員6名が、同教会の管理責任者である主任司祭(教会管理者)本柳孝司から立入を拒否されたにもかかわらず、教会施設内に立ち入り、令状もないのに警察活動を行いました。この行為は憲法35条による住居の不可侵の規定に違反し、また、憲法20条の保障する信教の自由を侵害する行為であります。
 そこで、宗教法人カトリック横浜司教区代表役員梅村昌弘司教及びカトリック貝塚教会主任司祭本柳孝司は、川崎臨港警察署が行った上記行為について、同年6月5日、川崎臨港警察署に赴き、厳重に抗議し、再発の防止等を申し入れました。これに対し、川崎臨港警察署所長本山巌警視から、同年6月12日付で、教会内に対する立入行為については、不適切であったことを認め、お詫びする旨の書面による率直な回答を受け取りました。
 しかし、私たちは、今回のような事件が、川崎臨港警察署だけでなく、全ての都道府県の警察署内で今後二度と起こらないよう、以下の事項について警察内における周知徹底、および職員の教育の徹底を要請します。
1・宗教団体の信教の自由を尊重し、宗教活動を妨害するような行為をしないこと。
2・教会等の敷地内への違法な立入及び職務質問等の捜査を実施して、基本的人権を侵害することがないようにすること。
3・教会施設付近において、教会を訪れようとする人々への職務質問などを行わないこと。

第2 要請の理由
1・カトリック教会には、国籍を問わず、祈りや礼拝等を目的として多くの信徒、求道者が訪れます。そして、教会は、教会を訪れる人々に対し、魂への配慮として司牧活動を行っています。日曜日に、全世界の教会において、ミサ聖祭を行うことは、一般にも広く知られていることであります。ミサ聖祭は、カトリック信徒にとって極めて神聖かつ重大な宗教上の儀式です。また、教会を訪れる人々の中には、自らの罪を悔い、神の赦しを求めてくる者もいます。カトリック教会は、聖霊のはたらきのもとに回心する人間に対して、キリストの名によって罪の赦しを与え、償いを定めます。この罪の赦しも、カトリック教会の秘跡の一つとして重要な宗教活動となっています。また、霊的な相談など様々な宗教活動を常時行っています。
2・このような宗教上の儀式を控えて、信徒、求道者が和やかなうちにも厳粛に相集う時間帯に、国家権力が令状もなく、管理者の制止を押し切って、境内地に立ち入り、警察官として職務質問等の職務を行えば、多くの信徒等に対し、恐怖、緊張、屈辱、怒り、嘆きなどの感情を生じさせ、およそ聖なる宗教上の儀式を行うのにふさわしくない状況を招くことになります。したがって、このような警察官の行為は、国家権力による宗教活動の妨害であるとの非難を免れがたいと言わざるを得ません。
3・教会は罪を犯した人も含めて、すべて重荷を負った者が安心して教会を訪れることができる場所を目指しています。教会内や教会付近において警察官から職務質問を受けるということが起これば、信徒等は安心して教会を訪れることができなくなり、教会として行うべき宗教活動に大きな支障をきたします。また、警察官が司祭に対し、司祭の宗教上の立場と守秘義務を顧みることなく、威圧的に「犯人をかばうのか。容疑者に敷地外に出るように勧めろ」などと詰め寄る行為は」、司祭の権能を否定し、告解の秘跡などカトリック教会の行う宗教活動を冒涜するものであります。
4・日本国憲法は、カトリック教会及びカトリック信徒に対しても、宗教儀式、宣教活動、信徒の育成教化など、宗教活動の自由を信教の自由として保障しており、宗教法人法は、国及び公共団体の機関は、宗教法人に関して法令の規定に基づく権限を行使する場合には、宗教法人の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならないとしています。
5・カトリック貝塚教会における川崎臨港警察署警察官の上記行為は、憲法に違反し、宗教法人法が尊重し、特に留意すべきであるとしているところに違反するものであって、極めて遺憾であります。また現場の警察官が携帯電話によって上司に連絡をとり、指示を仰いでいたのですから、現場警察官の単なる軽卒な行為であるとみなすことはできません。これは川崎臨港警察署としての宗教行為に対する妨害であると言わざるをえません。

 川崎臨港警察署の前記行為に対して重ねて強く抗議します。このことは川崎臨港警察署管内の問題だけではなく、全国レベルの問題でもあります。2012年6月21日開催された司教総会の総意をもって、日本のカトリック教会を代表するカトリック司教協議会会長として貴官に対し、警察が、憲法に規定されている基本的人権を守り、宗教団体の信教の自由を尊重し、宗教活動に対する妨害行為をしないこと、及び教会の周辺においても教会の宗教活動を妨害しないように慎重に配慮することを、管下の警察に周知徹底するため、必要な措置を講じられるように要請します。

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