JOCS大江浩氏が被災地支援報告 〝よそ者〟だからこそできる 日本クリスチャンアカデミー関東・日基教団東京教区北支区共催 2012年10月20日

 東日本大震災から約1年半が経過した9月21日、日本クリスチャンアカデミー関東活動センター(戒能信生運営委員長)と日基教団東京教区北支区(山本裕司支区長)は、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)総主事の大江浩氏(=写真)を講師に招き、「東日本大震災・その後の被災地――災害と心のケアについて」と題する報告会を開催した。会場の日本キリスト教会館(東京都新宿区)には約30人が集まった。

 大江氏は、阪神・淡路大震災とインド洋大津波スマトラ沖地震の支援活動に携わった経験から、災害に限らず、虐待、暴力、犯罪、事故なども含めて、死別を経験した当事者だけでなく、当事者を支えようとしている人たちもケアの対象として考えるべきだと主張した。

 東日本大震災ではJOCSは、仙台、釜石、福島を中心に支援活動を展開してきた。釜石では巡回診療などの医療活動に始まり、地元の医療体制が整ってくると、保健とケアの活動に移行。カトリック釜石教会に拠点を置くカリタス釜石ベースに加わって、仮設住宅と孤立集落にチームを送り、体温や血圧を測りながら話を聴く活動を続けてきた。「カウンセラーや看護チームを派遣しながら考えさせられているのは、わたしたちは〝よそ者〟であり続けるということ」と述べ、その姿をJOCSがアジア・アフリカの国々に派遣するクリスチャンワーカー(保健医療従事者)の状況と重ねた。

 「途上国の経験と被災地での経験が結びつくところがあるとすれば、人を待つのではなくて、人々のもとに赴く、そこにとどまるということ」「〝よそ者〟にはできないことがある。打ちのめされる時もある。しかし〝よそ者〟だからこそできることがあるかもしれない」と、活動を続ける理由を語った。

 「キリスト教には限界があるかもしれない。1人のクリスチャンとしても限界があるかもしれない。一体何がわたしたちに求められているのか。限界とジレンマという問題と同時に、その向こうにある『聴く』力が道を開いてくれるような気もする」と語った。

 日本クリスチャンアカデミー関東活動センターと日基教団東京教区北支区が共催で震災に関する報告会を行うのは今回が5回目。これまで、太田春夫(日基教団千代田教会牧師)、宮本旻祐(日基教団引退教師)、片岡謁也(日基教団東北教区宣教部委員長、若松栄町教会牧師)、山浦玄嗣(医療法人隆玄理事長、山浦医院医師・医学博士)、畠山重篤(「牡蠣の森を慕う会」代表、京都大学フィールド科学教育研究センター社会連携教授)の各氏を講師に招いてきた。仮設住宅で暮らす人々の現状を知り、この1年半をどのような思いで過ごしてきたのかを聞きたいという願いから、今回の報告会を企画した。

メモ
 日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)=海外からの医師の派遣や留学生受入れの要請に応えるために1960年に設立。世界の保健医療事情の向上を目指し、保健医療スタッフの派遣のほか、奨学金支給によるアジア・アフリカでの人材育成支援や、現地で活動するNGOと少額資金協力を含む協働プロジェクトを実施している。

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