ラジオ、インターネットを通じてキリスト教の福音を全国に送り続けてきた日本ＦＥＢＣが60周年を迎え、10月27日、キリスト品川教会（東京都品川区）で記念礼拝と講演会を開催した。

　全国から非信徒を含むリスナーや支援者ら約350人が集い、共にその節目を祝った。第二次大戦後のアジアに福音を伝えようと尽力したアメリカ人青年によって始められたＦＥＢＣは、1952年、フィリピンの送信所から日本語の短波放送を開始。現在は、プロテスタント、カトリックの違いを越えて、普段は接点のない教会の礼拝や説教、講解を聞くことができるというのが大きな特徴となっている。

　石居基夫氏（ルーテル学院大学教授＝写真左）の司式、飯靖子氏（日基教団霊南坂教会オルガニスト）の奏楽による記念礼拝では、井幡清志氏（日基教団石動教会牧師＝写真左から２人目）がルカによる福音書（５・17～26）から、「イエス様の願い」と題して説教。

　「60年の間、送り手と受け手との間でどれほどの営みがあったことか想像もつかないが、すべてイエス様とわたしたちとの出会いの積み重ね。あなたを愛してやまないイエス様が訪ねて歩まれ、働いておられる姿が随所にある。これからも変わることはない」と力強く語った。

　会衆は賛美歌「こころを高くあげよう」「キリストには変えられません」を歌い、共に60年の歩みが守り導かれたことへの感謝の祈祷をささげた。

　続く第２部では、晴佐久昌英氏（カトリック多摩教会主任司祭＝写真左から３人目）が「神はあなたに話したい」と題して記念講演を行った。

　初めて出会う人にも常に福音を語るスイッチが入れられるようスタンバイしているという晴佐久氏は、「物事を伝える時に一番大事なことは、気持ちがつながるということ。どんなに正しい立派なことを、どれほど情熱的に語っても何も届かない」「気持ちさえつながれば、あとは神が働いてくださる。理屈ではなく、ラジオを聴いているあなたとつながりたいという思いが届いた瞬間、そこはもう神の国」と話し、「どうしても話したい」という姿勢を共有したいと訴えた。

　具体的な体験談として、沖縄で出会った16歳の少年と10カ月に及ぶ同居生活を紹介。母親のもとを離れ、単身で上京し、路上ライブをする彼が、教会の仲間と心を通わせていく過程を語った。

　最後に、「神さまが一人の人を救おうとしても天から手を伸ばすわけにはいかない。イエスやキリスト者を通して出会わせる以外に方法はない。常に語り続けられている神の言葉が聞きたい人に届いていないもどかしい現実の中で、気持ちがつながれば必ず伝わると信じて関わることが、私たちに託された使命」と締めくくった。

　今回、式典の準備に奔走した制作企画部スタッフの長倉崇宣氏は、「さまざまな事情で教会に集うことができず、ＦＥＢＣの放送をいわば『命綱』のようにして日々を歩んでおられる方々と、声を合わせて主を賛美し共に主に祈る時を過ごすことができました。深い感謝とともに与えられた使命への思いを新たにさせられました」と振り返る。

　当日の模様は、同放送局にて年末年始に放送される。ラジオ放送（ＡＭ1566ｋＨｚ）は12月29日、2013年１月５日の夜10時から、インターネット放送（http://www.febcjp.com）は12月28日、2013年１月４日の朝10時に更新される予定。

　また、式典の模様を収録したＣＤ「この国で主イエスの福音を分かち合う――日本ＦＥＢＣ放送開始60周年記念式典」（定価2700円）も販売される。問合せは同放送局（℡０４２２・52・１５６６）まで。

キリスト教放送局 日本FEBC 60年の歩み

1945年　米国FEBC本社創立
　52年　フィリピンFEBC送信所より日本語短波放送開始
　59年　FEBC東京支社開設、ヒューレット支社長就任
　64年　D・ウィルキンソン支社長就任
　66年　借用ビル内に42平米のFEBC東京スタジオ完成
　71年　G・ウィルキンソン支社長就任
　74年　韓国済州島HLDA局日本語中波放送開始
　76年　小林八郎入社、日本支社次長就任
　77年 「FEBC維持会員制度」開始
　79年　小林八郎支社長就任、吉崎恵子支社次長就任
　82年　放送開始30周年記念晩餐会開催
　85年　FEBC主催　教職セミナー開催（第３回まで継続）
　89年　武蔵野市吉祥寺に新社屋・スタジオ落成
　91年　宗教法人日本エフイービーシー教会許認可
　94年　国内献金のみによる経済的自立達成
　96年　国際FEBC協議会・常任委員会発足
2001年　インターネット放送開始
　02年　放送開始50周年記念式典開催
　05年　吉崎恵子代表、鈴木誠司副代表就任
　12年　60周年記念式典