日本旧約学会 関根清三会長講演 〝旧約学と哲学の相補的関係を〟 2012年11月24日

 日本旧約学会(関根清三会長=東京大学教授)は11月3日、東京都文京区の東京大学本郷キャンパスで「欧米の旧約学の批判と総括」との主題のもと、会長講演と公開シンポジウムを開催した。会員を中心に34人が参加した。

 今年2月に『アブラハムのイサク献供物語――アケダー・アンソロジー』(日本キリスト教団出版局)という編著を出版した関根氏は、「アケダーの真髄を尋ねて―旧約学と哲学の協働―」と題してアケダー解釈史を検討した。「アケダー」は「縛り」を意味するヘブライ語。アブラハムがイサクを縛って全焼の献げものとしようとしたという創世記22章9節に基づいて、同章1~19節全体を「アケダー」と呼ぶことを習わしとしている。

 講演の最後に同氏は、「客観的にテクストをして語らしめることを標榜する旧約文献学とて、何らかの主観的な操作をして解釈を遂行しているし、遂行せざるを得ない」と指摘。また旧約学が、「護教的になりがち」「信仰を前提とした仲間内の話に閉じこもりがち」「神の非倫理性や矛盾性を不問に付しがち」と述べ、「それでは結局、この『神』と浅く付き合い、テクストの深層にも真髄にも到達しないままで終わるのではないか」と疑問を呈した。

 その上で、「やはり客観的な価値全般に開いて考察できるのは、哲学ではないか」とする一方、「逆に哲学だけでは抽象的に過ぎ、また思弁的に一人歩きして、旧約の具体的なテクストの謎と暗喩に満ちた象徴の豊かさと、その暗号解読のダイナミズムを、徒に見失う陥穽(かんせい)に陥る可能性があることも事実だろう」とし、旧約学と哲学が相補的関係を築いていくべきだと強調した。

 守屋彰夫氏(東京女子大学教授)が司会を務めたシンポジウムでは、大住雄一(東京神学大学教授)、樋口進(関西学院大学教授)、石川立(同志社大学教授)の3氏がそれぞれ、「『汝なお一つを欠く』とするならば」「預言者研究のパラダイムシフトと課題」「ヘブライ語聖書『諸書』における研究の回顧と展望」と題して発題した。

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