北村慈郎氏裁判・口頭弁論が終結 法律上の争訴にあたるか判断へ 2012年12月8日

 未受洗者への配餐を理由に日本基督教団(山北宣久総会議長・当時)から免職の戒規処分を受けた北村慈郎氏(前紅葉坂教会牧師)=写真=が、正教師の地位確認および1千万円の慰謝料などを求めて提訴した裁判で、12月3日、第2回口頭弁論が開かれた。東京地裁の法廷には、各地から北村氏の支援者らが傍聴に駆けつけた。

 裁判ではまず、「宗教上の教義内容に関わる争いか」「法律的な判断、法的な保護に値するか」が論点となり、4月の第1回口頭弁論とその後2回の準備手続きを経て、今回の口頭弁論に至った。

 原告側、被告側双方の弁護士による意見陳述が行われた。原告代理人は、過去の判例などに基づきながら改めて論点を整理。被告代理人は、「戒規処分は労働法上の懲戒処分ではなく、教団の教憲・教規に基づく宗教的な決定。これを人権問題にすり替えて、脱法的に裁判所の介入を求めるのは、信教の自由と政教分離の原則に対する重大な挑戦」との主張を繰り返した。

 東京地裁はこれで一度弁論を終結し、本件が法律上の争訴にあたるかどうかについて、2月25日に判断を下すこととした。判決がいわゆる「中間判決」であれば裁判は継続され、訴訟内容について実質審理に入るが、「法律上の争訴にあたらない」として門前払いをする「終局判決」であれば、一審の裁判は終了することになる。

 場所を移して開かれた「北村慈郎牧師を支援する会」による報告集会では、弁護士らの解説に続いて同会世話人代表の関田寛雄氏(神奈川教区巡回教師)があいさつ。被告側に対し、教団によるかつての戦争協力、東京神学大学での機動隊導入という「国家権力への追従」についての態度を糾し、「宗教集団の自律権を主張するなら、自律に値する人間尊重の実態があるのか吟味してからにしていただきたい」と苦言を呈した。

 最後に登壇した原告の北村氏は、「聖書の解釈が多様に変わってきているにもかかわらず、歴史的・批判的研究をふまえず、信条主義に陥っていいのかというのが、当初からの疑問。裁判はこれからが勝負。どういう形であれ、最後までやりぬきたい」と支援を訴えた。

 同会事務局では今後、「公正な裁判を求める要請書」を用意し、全国の関係者から署名を集める予定だという。

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