東京高裁 北村慈郎氏の控訴棄却 教義・信仰には立ち入らず 2013年7月27日

 未受洗者への配餐を理由に日本基督教団(山北宣久総会議長・当時)から免職の戒規処分を受けた北村慈郎氏(前紅葉坂教会牧師)が、正教師の地位確認および1千万円の慰謝料などを求めて提訴した控訴審裁判で、東京高裁(福田剛久裁判長)は7月10日、控訴人側の訴えをいずれも棄却した。

 判決は一審を基本的に踏襲し、「正教師の地位が法律的な権利、義務を包含しない宗教上の地位であることは明らか」であり、いずれの訴えも「教義、信仰の内容に立ち入って審理、判断することが避けられ」ず、「不適法」と結論付けた。

 控訴人が主張した「謝儀受給権」「牧師館等に居住し、賃料相当額の保障を受ける権利」「教会の代表役員等の地位に就任する権限」については、教団とは別法人である教会との関係における地位であるとの判断を下した。

 弁護団は「教団内でどんな戒規執行がなされても、司法による救済の道はないということ」と批判。控訴人側は即日上告を決めた。

 判決後の報告集会で北村氏を「支援する会」世話人代表の関田寛雄氏(神奈川教区巡回教師)は、「教団は合同教会として画一化されてはならない。多様性こそ豊かな福音の実り」と主張。「私たちは敗者として説を曲げることなく、歴史を導きたもう主を信じ、情理を尽くして真理を謙虚に語り続けなければならない。くれぐれもかつての誤りのように、一般信徒の方々に誤解を与えるような激しい行動は慎んでいただきたい。新しい荒野の40年を歩もうではないか」と呼びかけた。

 控訴人の北村氏は提訴の理由について改めて説明し、「私の権利回復が目的ではあったが、違った意見を排除していくという教団の現状を危惧している。最高裁の結審後、もし教団側が攻勢を強めてきたとしても、言うべきことは言うという姿勢を貫きたい。実質的には、これからの動きが問われてくる」と述べ、「この判決によって、現在までの執行部の聖餐式に関する考え方やわたしへの戒規免職処分の正当性が認められたということはない」と強調した。

 日基教団議長の石橋秀雄氏は本紙の取材に対し、「主の主権のもとにある教会法を無視し、この世の権威である裁判になお訴えて、教師の地位に関する権利主張をなすことは理解できない」とし、「教団信仰告白で『教会は公の礼拝を守り、福音を正しく宣べ伝え、バプテスマと主の晩餐との聖礼典を執り行ひ』と福音主義教会の信仰が告白されている」と指摘。「洗礼から聖餐へとの順序を変えることはできない。北村氏は未受洗者への配餐を止め、悔い改めて教団教師に復帰されることを心から祈り、願っている」とコメントした。

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