「環境的回心」呼び掛ける回勅 2016年4月9日

「ラウダート・シ」めぐり基督教学会シンポ

 「環境・経済・キリスト教――回勅『ラウダート・シ』に関連して」をテーマに日本基督教学会関東支部会シンポジウムが3月18日、上智大学(東京都千代田区)で行われた。吉川まみ氏(上智大学神学部講師)の司会のもと、ジョン・ジョセフ・プテンカラム氏(上智大学地球環境学研究科委員長=写真左)と東方敬信氏(青山学院大学名誉教授=同右)が発題した=写真

  「ラウダート・シ」(「主を賛美せよ」の意)は、教皇フランシスコが昨年6月に発表した、「環境的回心」を呼び掛ける回勅。
 途上国の開発経済を専門とするプテンカラム氏は、回勅を祈りのためのものと捉え、祈りの心を持って地球環境を考えることを提言した。その上で、経済活動が気候変動に与える影響について国際社会の意識が希薄だとして、各国が早急に法律や政策を打ち出していく必要性があると主張。途上国の貧困の問題などにも言及した。

 また、地球環境に関する国際会議の歴史をたどり、国連の「ミレニアム開発目標(MDGs)」などの国際的な取り組みに教会が意識的に関わっていないと指摘。「ラウダート・シ」が環境に関心を持つきっかけになるとして、環境教育の必要性を強調した。

 東方氏はこれまで青山学院大学で学生とともに、発展途上国の作物や製品を公正な価格で取引するフェアトレードの活動に取り組んできた。高度消費社会の蔓延している現代において「生命圏環境への責任」を促す人物として、環境思想家のウェンデル・ベリーに注目し、「キリスト教のコスモロジーを基督教学会で取り戻さなければならない」と強調した。
 さらに、同氏が大切にしている言葉として「グローカリゼーション」という造語を挙げ、「発想はグローバルであったとしても足元のローカルを見直すということ。大学であろうと教会であろうと、ローカルな証しが全体を動かしていく」と説明。「地球社会の意味付けというコスモロジーを論じる神学が必要だろう」と述べ、「環境神学」を用いることを提言した。

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