【画像】 発覚から8年 牧師にも法の裁き 最高裁 国際福音キリスト教会 卞在昌氏のセクハラ認定変えず 2016年7月2日

【画像】 発覚から8年 牧師にも法の裁き 最高裁 国際福音キリスト教会 卞在昌氏のセクハラ認定変えず 2016年7月2日

 茨城県つくば市などにある国際福音キリスト教会(宗教法人「小牧者訓練会」)の牧師、卞在昌(ビュン・ジェーチャン)氏によるセクハラやパワハラ被害を訴えた一連の民事訴訟で6月14日、最高裁がいずれの上告も棄却したことにより、事件が公になってから8年以上にわたる争いに一応の終止符が打たれた。しかし、教会の体質は依然変わっておらず、新たな被害も出ているのではないかと懸念する声は消えない。


 この民事裁判は、元信者の女性4人と男性1人が総額4620万円の損害賠償を求めて卞氏と同教会(教団)を訴えたもの。最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は上告を退ける決定を下し、東京地裁第1審判決が確定した。男性原告が訴えていたパワハラ被害や、卞氏側が訴えていた名誉棄損などについての上告も棄却した。
 2008年以来、被害女性らの「救出と癒しを目的とする会」(FOE、毛利陽子代表)や元信者らを中心とする「モルデカイの会」(加藤光一代表)などが告発し、謝罪を要求してきたが、卞氏らは「事実無根」と否定してきた。
 1審判決は卞氏の行為を「主任牧師の立場であることを利用し、聖書の教えなどにかこつけて数々のセクハラ行為に及んだ......極めて卑劣な行為」と断じ、原告らの心理状態について「生理的嫌悪感を抱きつつも、神の教えに従って霊的指導者に従順であるべく、これを正当な行為であると考え......甘受していたと考えられる」と「一種のマインドコントロール下」にあったと結論付けている。さらに、卞氏と女性信徒との日常的な身体的接触(口へのキスやハグなど)は「一般社会の許容範囲を超えている」と指摘していた。
 今回の判決確定を受けて原告の代理人弁護士と支援者らは6月20日、都内で記者会見を開き、改めて本裁判の意義や課題、教会に望むことなどを訴えた。
 「モルデカイの会」は声明の中で、「牧師といえども不法行為を働けば当然のことながら法の下に裁きを受けることは明白であり、被害者が真実を語ることによって、法的救済を得て自らの名誉を回復することができる」「今回の裁判が先例となって、牧師の権威を強調するあまり、同じような悲劇を招いている一部のキリスト教会における同種事件の被害者が広く救済され、その人権が回復されるよう、これからも警鐘を鳴らし続ける」と表明した。
 会見で代理人弁護士の齋藤大氏は、当初、元信者の間には牧師の不祥事を「教会外」で解決することについて強い抵抗があったが、教会内では解決できない違法行為について、一般社会と同じように法的な責任を追及するという姿勢に転じ、それを最後まで貫いたことについて「勇気ある行動」と評価。「同類の事件が起きた際に、本件が先例となり、こうした解決もキリスト教の教えに反するものではないと認識してもらえる」と裁判の意義を強調した。
 会見には、裁判の終結を機に自身の言葉で思いを伝えたいと、初めて公の場で証言した原告の女性も出席。敬虔なクリスチャンである母から「悔い改めの大切さ」を教えられたと語り、「悔い改めることなく被害女性たちを中傷する教団の人々を赦せずにいる自分に気付いた」「同じ被害にあっても、罪を隠すことが教会を守ることだと信じている信徒がいるが、悔い改めることの大切さに気付いてほしいと願う。今も教会で同じように苦しんでいる人がいれば、誰かに相談してほしい」と呼びかけた。
 事件発覚後、一時は牧会の現場を離れた卞氏だが、すでに主任牧師として復帰しており、判決が確定した直後の礼拝でも、アガペーつくばチャペル(茨城県つくば市)で説教している=写真右。
 同氏の準強姦罪が問われた刑事裁判ではすでに「無罪」判決が確定していたが、原告らは「刑事裁判では、ある特定の日時における一つの姦淫被害について審議されただけで、それ以外の、4人が民事裁判で訴えた計70件(訴状に記載した被害件数の合計)に上るセクハラ被害は、刑事裁判では審議の対象とすらされていない」と指摘している。

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