獣化する国家に立ち向かう希望を 秘密保護法に反対する牧師の会が緊急セミナー 2016年8月6日

 特定秘密保護法に反対する牧師の会(共同代表=朝岡勝、安海和宣)は7月1日、7日、14日の3回にわたり、緊急連続セミナー「この国はどこへ行くのか――日本と宗教ナショナリズムを巡って」をお茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で開催した。

 1日は黙示録・終末論の研究者である岡山英雄氏(日本福音キリスト教会連合東松山福音教会牧師)が「ヨハネ黙示録13章とこの国――権力が《獣化》するとき」と題して講演=写真。約80人が参加した。

 同氏は聖書から、「国家」には二つの側面があると解説。ローマの信徒への手紙13章では国家(ローマ帝国)が「神のしもべ」として肯定的に捉えられている一方、ヨハネの黙示録13章では「獣」と呼ばれており、「今わたしたちの生きている国家はどちらの状態にあるのか。神のしもべとして正しくその機能を果たしているのか、獣化しつつあるのか」と問うた。

 その上で、国家が獣化するしるしとして、「国家の神格化、礼拝」「暴力的な支配によって民を戦争に駆り立てること」「欺瞞」「強欲な富の追求」という四つを黙示録から提示。1世紀の初代教会がローマ帝国とどのように戦い勝利したかということに焦点を合わせ、現在の問題と対比させながら、教会の役割を考察した。そして、創世記1章1節と黙示録22章21節の対応関係から、神は万物を創造し、イエスを通して恵みが万物に及ぶようになると述べ、そこに「立ち向かう希望の力」があると強調。

 最後に、秘密保護法、安保法制、貧富の格差、基地問題や原発の問題などに対して個別に抗議の声が上がっているとし、統合を示せるのは黙示録ではないかと提言。「どんなに権力が獣化したとしても、わたしたちは最後まで立ち向かう希望の力が与えられている。それは最終的な勝利であって、闇の中にもこの光が輝き続ける」と訴えた。

 7日は日本キリスト教史を専門とする山口陽一氏(東京基督教大学教授)、14日は宗教学者の島薗進氏(上智大学大学院教授)が講師を務めた。

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