〝問われているのは「近代」への立ち位置〟 バプ連・北関東 憲法学・石川裕一郎氏 2017年2月25日

 日本バプテスト連盟北関東地方連合社会委員会は2月11日、日本バプテスト連盟浦和キリスト教会(さいたま市浦和区)で「現代の政治状況と私たちの責任――信仰者として歩むために、共に学び、祈ろう」と題する集会を開催した。講師は石川裕一郎氏(聖学院大学政治経済学部教授)。

 自身はクリスチャンではないが、「日本の教会は、思想・良心の自由、マイノリティの権利に敏感な数少ない集団と認識している」と前置きした同氏は、改憲をめぐる議論の流れを概観。「時局に流され一喜一憂することなく、地に足のついた骨太な議論をすべき」と提起した上で、自民党改憲草案を現行憲法と比較することで、その憲法観を明らかにした。

 現行憲法は戦争が国家権力によって始められることを明記しているのに対し、改憲草案の前文は「先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展」と、戦争と自然災害を同列視し、政府を免責していると指摘。9条だけでなく前文の平和的生存権にも注目する必要性があると強調し、天皇を中心とした復古主義、経済活動を優先する新自由主義の2点を改憲草案のポイントとして挙げた。

 「本来、国民の自由と権利を守るのが憲法だが、改憲草案では制定の目的が『良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため』とされている」

 中でも13条「すべて国民は、個人として尊重される」と24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有する」に着目。戦前の家制度を否定した現行憲法に対し、改憲草案には「行き過ぎた個人主義を是正する」との意図が込められているとし、いわゆる家族条項を変えようとする動きにも警戒感を示した。

 公権力を縛るのではなく国民の義務を強調した改憲草案は、安倍晋三首相が社会主義国として敵視する中国や北朝鮮の憲法と酷似するという石川氏。「もはや問われているのは改憲への賛否ではなく、『近代』という価値に対する私たちの立ち位置」と締めくくった。

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