【画像】 新翻訳聖書のパイロット版発行 来年の完成目指し日本聖書協会が意見募集 2017年4月1日

【画像】 新翻訳聖書のパイロット版発行 来年の完成目指し日本聖書協会が意見募集 2017年4月1日

 日本聖書協会(渡部信総主事)は、2018年の完成を目指して10年から聖書の新翻訳事業に取り組んでいる。現在各書のパイロット版を発行して、一般読者からの意見を募っている。今年中に編集委員会による編集作業を終え、訳語の調整やパイロット版読者による提案の検討を経て、来年春にベータ版を発行、秋に文言を確定させる予定だという。
     ◆
 3月9日に埼玉・大宮で開かれた聖書事業懇談会には約90人が参加。同事業についての情報交換の場として14年から各地で開催されているもので、埼玉県では初の開催となる。
 新約学者で歌人でもある新翻訳事業翻訳者兼編集委員の住谷眞氏(日本キリスト教会小平教会牧師、日本キリスト教会神学校講師)の講演「新翻訳聖書の魅力――3割わかるとっておきの話」では、具体的な翻訳の変更点が示された。
 従来の翻訳との大きな変更の一つは、パウロ書簡(ローマの信徒への手紙3章22節など限定的)において「イエス・キリストへの信仰」が「イエス・キリストの信実」と訳されたこと。パウロ神学における神の義の生じる実在根拠として解される「の」の属格を、従来のように対格的(対格的属格)に理解するのではなく、主格的に「イエス・キリストが貫いた信実」と理解することが近年の新約学の通説だとして、その知見が取り入れられた訳になった。従来の理解も別訳として欄外に入れられるという。「信仰」「信実」と訳されるこの言葉はギリシア語では「ピスティス」であるが、「イエス・キリストの信仰」とまでは訳せないという理由から、「信実」と訳されることになった。
 同協会翻訳部主事補の島先克臣氏によると、新翻訳では、これまでの研究成果や日本語の変化に基づいて動植物の訳語も変更される。例えばマタイ福音書23章23節の「薄荷」は「ミント」、「いのんど」は「ディル」、「茴香」は「クミン」となる。
 また、同3章7節で「蝮の子らよ」と訳されていた「蝮」は「パレスチナクサリヘビ」を指すことが分かり、「毒蛇の子らよ」と訳されることになった。
 新翻訳は礼拝の中で使われることを前提に、日本語としての分かりやすさと格調の高さを兼ね備えた翻訳を目指している。渡部氏によると、今後30年間使用されることを目標に、若者の意見も取り入れたいとしている。また、見出しの有無の違いによる2種類の聖書や、未信徒向けに伝道用の聖書の発行も検討したいとしている。
     ◆
 新翻訳事業には18の教派・団体が参加。翻訳者は、旧約担当20人、新約担当14人、続編担当9人、日本語担当19人から成る。日本での信徒数の割合に応じてカトリックの担当者が4割を占める。典礼や言語学などの専門家によって構成される編集委員は、聖書全体1人、旧約全体2人、五書・歴史書8人、詩書・預言書11人、旧約続編9人、新約13人から成る(16年11月現在)。
 翻訳作業のプロセスとしては、原語担当者と日本語担当者が2人1組で第3稿まで作成。第4稿で翻訳者委員会の調整が行われ、第5稿で朗読チェック、第6稿で編集委員会の調整、第7稿で外部モニターの意見の検討、第8稿で理事会による承認が行われる。
 現在発行されているパイロット版は第6稿にあたり、一般にも販売することで、感想や改訂案などのコメントを受け付けている。
 パイロット版は、旧約がレビ記、ルツ記、哀歌、およびナホム書・ハバクク書・ゼファニヤ書の合本、新約は全巻(合本含む)、続編はマカバイ記二、知恵の書、シラ書〔集会の書〕、マナセの祈りの四つを除く全巻(同)が発行されている(3月1日現在)。各書の正式な名称は未定。
 それぞれ100~200円で購入できる。申し込みは郵便振替(00160-2-18410 一般財団法人日本聖書協会)で、通信欄にパイロット版、書名、単価、部数、合計額、氏名、郵便番号、住所、電話番号、可能であればEメールアドレスを記載すること。書店での販売は行っていない。詳しくは同協会のサイト(https://www.bible.or.jp/know/know31/pilot.html)を参照。
     ◆
 聖書事業懇談会は7日に同志社大学(京都市上京区)でも開催され、新翻訳事業翻訳者兼編集委員の石川立氏(同大学神学部長)が講師を務めた。
 7月16日には「新翻訳聖書セミナー」が広島YMCA(広島市中区)で開かれる。講師は新翻訳事業翻訳者兼編集委員の飯謙氏(神戸女学院大学教授)。問い合わせは同協会広報担当(℡03・3567・1988)まで。

 詳しくは紙面で