【画像】 不確実な時代に人間性の理解育む 「祈り」主題に日本キリスト教文学会大会 2017年6月3日

【画像】 不確実な時代に人間性の理解育む 「祈り」主題に日本キリスト教文学会大会 2017年6月3日

 日本キリスト教文学会(宮坂覺会長)の第46回全国大会が5月13~14日、昭和女子大学(東京都世田谷区)で開催された。初日は約70人、2日目は約50人が出席した。
 開会にあたり宮坂氏は、かつて400人近く在籍していた同会の会員が、現在は200人ほどにまで減少したことに言及。大学を初め教育機関では文学は実用的な学問ではないとされているが、「不確実な時代」にあって、人間性の理解を育む文学の重要性は増していると指摘した。
 「文学と〈祈り〉」を総主題に開催された今大会。シンポジウムでは、竹野一雄氏(日本大学講師)をコーディネーターに、安藤聡(大妻女子大学教授)、川原有加(日本大学大学院修了)、棚瀬江里哉(北星学園大学教授)の3氏がパネリストとして発題。それぞれ、C・S・ルイス、C・ウィリアムズ、J・R・R・トルキーンという20世紀英国のキリスト教作家を取り上げた。
 大会では2日間で6人の研究発表が行われた。中でも堀越喜晴氏(立教大学他兼任講師)は「文学作品の中での障害者の役割について」と題し、全盲の立場から、C・S・ルイスの"The Man Born Blind"、及びダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』に注目。文学作品に障がい者を登場させることは、ある意味で日常を非日常的な視点から眺め直し、当たり前になっている真実に光を当てることだと述べた。
 また、グレアム・グリーンの『キホーテ神父』を取り上げた山村結花氏(日本大学大学院修了)は、同小説に描かれたミサの場面を中心に、キホーテ神父の祈りを考察。ユーモア小説と見なされる傾向にある同作だが、死を間近にした聖職者の使命感と元町長の信仰心の再生という深い内容の物語であると解説した。
 2日目に「自我、自然、死、そして祈り――〈書く〉ことをめぐっての問い」と題して講演した川島秀一氏(大阪成蹊短期大学特任教授)は、島崎藤村、宮沢賢治、遠藤周作という近代的自我と格闘した作家を論じた後で山本周五郎に着目。「おれは徒労とみえることに自分を賭ける」という山本の言葉に触れ、書くことへの壮絶なまでの覚悟、祈りがあると指摘した。

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