【画像】 「教勢の危機」にどう向き合う? 日本聖書神学校で教会間交流の可能性探る 2017年6月10日

【画像】 「教勢の危機」にどう向き合う? 日本聖書神学校で教会間交流の可能性探る 2017年6月10日

 伝道者不足、教会の体力低下は日本の多くの教会に共通する現象であるとして、共に日本の教会の未来を考えようと、「どこも同じ『教勢の危機』だからこそ」と題する意見交換の場が5月21日、日本聖書神学校(東京都新宿区、神保望校長)で持たれた。同神学校の創立71周年記念の集いとして同神学校後援会(菊池公平会長)が主催したもので、約70人が出席した。
 登壇者は、吉岡光人(日基教団吉祥寺教会牧師、同校理事長)、菅原裕治(日本聖公会聖パトリック教会司祭、同校講師)、石田学(日本ナザレン教団小山教会牧師、日本ナザレン神学校校長)の3氏。
 吉岡氏は教会の奉仕者の減少に着目。子どもの世話や親の介護などで忙しい信徒が多く、総数が多ければ役割を分担できると述べた。
 この問題は、キリスト教関連団体の人材供給の問題とも関係しているとし、キリスト教主義学校や教会付属幼稚園、福祉施設などでのキリスト者職員の減少に言及。成熟したキリスト者が送り出されなければ証しにならず、キリスト教精神が継承されていかないと訴えた。
 「一つの教派やグループだけで完結するという考え方を乗り越えなければいけない」と話し、「教派を超えて協力できる信徒を育成していく使命があるのではないか」と提言。
 また、信仰生活の質的な問題も問われていると指摘。信仰の養いとなる本を一緒に読むような読書会が教会で成立しにくい状況を例に挙げ、「信仰の個人主義化」「信仰の極端な内面化」を危惧。「社会に貢献する信仰者を生み出す責任が教会にはある」と訴えた。
 教師数の減少については、距離の離れた教会を兼牧している牧師がいることを踏まえ、近くにいる他教派の牧師に協力を仰ぐことを提案。「信仰職制の理解の違いはあるが、共通部分が多ければできることもあるのではないか」と述べた。
 神学校のカリキュラムを通じた交流の拡大や連携についても提言した。
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 菅原氏は、日本聖公会で年間約300人弱の信徒が減少していることを指摘。聖職者については、主教による派遣制を取っており、地方の教会だけでなく東京の教会でも複数の教会を兼務するケースが増えてきていることを説明した。
 東京教区の今後の課題の一つは「隣の教会と仲良くする」こと。これは実際、多くの教派で実行できていないことだとし、同じ地域の他教派の教会とは仲良くできても、同じ教派の中で隣の教会と仲良くすることは難しいと述べた。
 日本聖公会には11の教区があり、隣の教会との交流がスムーズにできるとし、その関係を今後もっと密にしていきたいと強調。地域ごとに合同で堅信式やバザー、聖書勉強会などを行うことを提案した。
 その上で、日本聖書神学校が超教派神学校であることを評価。「神学などの違いがあっても、隣の教会と声を掛け合えられるような牧会ができれば、いずれいろいろな問題が解決していくと思う」と話した。
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 石田氏は、「教勢の危機」に対する人間の反応には2種類があると説明。一つは、教勢が振るわなくなった原因を追究しようとする心理で、誰かに責任を転嫁することで自己正当化する心理であり、教派・教団の中に対立を生み出し、すでにあった対立を一層先鋭化させることになると指摘。
 もう一つの心理は、不安しか見えてこない未来を考えることを放棄し、現状維持に専念するというもの。同氏は「多くの教会、牧師がこの病に感染している」と述べ、時間の先延ばしに過ぎないと主張。「信仰とは未来を望み見ることだという根源的な確信が教会から失われている」と語った。
 同氏は「日本の教会は決して将来の希望が失われていない」とし、日本のキリスト者は人口のわずか0・8%であって開拓の余地があり、少子高齢化や人口減少が教会の危機の原因ではないと強調。「教会が閉鎖的すぎる」「使っている言葉が30歳以下の人には理解不能に近い」「説教と教会の体質が現代の課題や問題と隔絶している」などの課題を挙げ、神学教育こそがそれを克服する鍵だと訴えた。
 そのためには神学校の交流と協力の可能性が模索されなければいけないとし、神学生の交流や教師の相互派遣を提案。超教派的な立場にある日本聖書神学校は、神学生と神学教師の交流と対話の主体的な役割を担う立場にあると述べた。
 参加した牧師からは、他教会との交流として、バザーや祈祷会、研修会などの取り組みが紹介された。
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 同神学校は7月16~17日に「献身志願者の集い」を開催する。献身を考えている人、神学校入学を検討している人に向けたもので今回が6回目。参加費は5千円(交通費・食費込み)。希望者は神学校に宿泊できる。申し込み締め切りは7月7日。問い合わせは同神学校総務部(℡03・3951・1101)まで。

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