北朝鮮で拘束の米国人 ロバート・パク氏が釈放 2010年2月20日
【CJC=東京】北朝鮮は2月5日、昨年12月25日に朝中間の国境を越えて無断で北朝鮮に入国した対北朝鮮人権活動家ロバート・パク氏(28=韓国系米国人)を釈放すると明らかにした。
パク氏は6日午前、平壌から空路、経由地の北京に到着した。パク氏は報道陣の問いかけには答えず、終始うつむいたままで、出迎えに来た北京の米国大使館員の乗用車に乗り込んだ。パク氏は同日、民間航空機でロサンゼルスに到着した。
朝鮮中央通信は5日、「違法入国した米国公民ロバート・パクを抑留し、調査を行った。(パク氏が)自分が犯した行為を認めて悔いている点を考慮し、該当機関は寛大に許し釈放することにした」と伝えた。 北朝鮮のパク氏解放決定報道はパク氏が北朝鮮入国してから42日目。 中央通信は、パク氏が記者会見で「西側の悪い宣伝にだまされて犯した罪科を深く反省している。朝鮮政府に心から謝罪する」と述べた、と主張した。
北朝鮮の釈放決定には、今回の北朝鮮入国事件を朝米関係進展の潤滑油にしようという狙いがあったとみられる。北朝鮮はパク氏釈放決定を発表すると共に、パク氏と朝鮮中央通信とのインタビュー内容を公開した。
パク氏は政治犯収容所の閉鎖など、北朝鮮の人権状況改善を訴えるために豆満江を渡ったが、この日北朝鮮が公開したパク氏とのインタビューは、一言で「北朝鮮は人権を守る国」という内容だった。
朝鮮中央通信によると、パク氏は北朝鮮入りした動機について、「西欧のおかしな宣伝の影響を受け、朝鮮に対する誤った認識を持つようになった」と説明した。また平壌にあるポンス教会での礼拝に参加したときには、「宗教の自由が保障されていることを知った」と述べた。最終的にパク氏は、「わたしは恥ずかしさを感じている。(北朝鮮には)心から謝罪したい」と結論づけた。
北朝鮮はパク氏とのインタビューについて、「本人が求めてきたため行った」と説明しているが、パク氏を支援してきた「すべての北側同胞のための自由と生命」のチョ・ソンレ代表は韓国紙『中央日報』との電話で、「パク氏が強圧のため偽りの記者会見をしたようだ」と述べた。