牧会塾 プレスクールで山口陽一氏が指摘 「牧師像を築きにくい」 2011年2月12日
教職者、その配偶者、信徒の牧会に関する「パーソナル・フラット・プロセス」を大切にする継続教育の場――。牧会塾は1月20日、3回目となるプレスクールを「幼きイエス会」ニコラバレホール(東京都千代田区)で開催した。
山口陽一氏(東京基督神学校校長)が「これからの牧会者に望むもの…」と題し基調講演。続いてパネルディスカッションが行われ、生島陸伸、生島綾子(カンバーランド長老教会日本中会牧師)、太田和功一(クリスチャン・ライフ成長研究会主事)、坂野慧吉(浦和福音自由教会牧師)、小川巧記(オイコス・チャペル牧師、愛知万博プロデューサー)の各氏が登壇した。
山口氏は、「(牧師が)もって生まれた個性を殺さない牧会ができれば」と話し、自身が校長を務める東京基督神学校と東京基督教大学の統合による「教会教職課程」に触れた。多様化する牧師像に対し、一方で牧師に対する期待も多様化していることを指摘。
「牧会者になろうとする人が自分の牧師像を築きにくい。さまざまなことを言われ、期待されるのは一つの課題。韓国系教会の牧師の活躍、そしてメガチャーチの進出もある。期待に応え切れず、アイデンティティ・クライシスに陥ってしまうのは切実な問題」
ITの普及で人間関係を深くもつことが難しいとされるなかで育ってきた牧師の現状を「牧師は一匹狼として働くのではなく、教会という主の体の中で働く。主の群れを牧するので必然的に共同の働きに召されているとも言える」とし、「孤立しないことが大事」と述べた。
さらに1%のキリスト者人口について、「聖書には数に頼るストラテジーはない」と明言し、「教会の体質を問題にして99%に届く福音を、という論理は成り立つが、聖書は大きくなることを示していない。むしろ神の国の霊的な戦いを思うと、日本には信者が64万人いる、8千の教会があるという状況下で誰かが言ってくれるだろうと思うなら、真に多過ぎるという発想のほうが聖書的だと思う」と主張した。
さらに「霊的な戦いの前線にいるという意識を牧会者や伝道者としてもつことが大切。問題はこの15年ほど、牧師が伝道する力を弱めてきていること。神学校に来る人たちは皆いい素質を持っているが、一人の魂を救いに導いた経験がない、という弱い若者が多い」と付け加えた。