〝3・11〟から1カ月 鎌倉の宗教者、共に復興願う 2011年4月23日

 震災から1カ月となる3月11日。「宗教の違いを超えて国難を乗り越えよう」との思いで集った鎌倉市内のキリスト教、仏教、神道の宗教者らが、鶴岡八幡宮で合同の「追善供養・復興祈願祭」を行った。キリスト教から牧師や神父ら約110人が参加したほか、趣旨に賛同する約1万人の市民も参列し、共に祈りをあわせた。

 主催は鶴岡八幡宮(吉田茂穂宮司)、鎌倉市仏教会(会長・仲田昌弘=覚園寺住職)、キリスト教諸教会の3者で、鎌倉仏教会の僧侶らが発案し、市内の神社やキリスト教諸教会の賛同を得て実現した。「趣意書」によると、鎌倉時代、「国難に際して社寺がまとまり、乗り越えるための御祈願が執り行われて」いたことにちなみ、宗派を超えて合同祈願を行うことになったという。

 震災の起きた午後2時46分にあわせて式典が始まり、それぞれの宗教儀礼にしたがって追悼と復興のための祈りがささげられた。キリスト教からは、田代和生(カトリック雪ノ下教会主任司祭)、ボブ・ザラテ(同教会助任司祭)、山口道孝(同教会協力司祭)、英隆一朗(イエズス会日本殉教者修道院所長)、荒井仁(日基教団鎌倉恩寵教会牧師)、松下道成(日基教団大船教会牧師)、吉川智之(日本聖公会鎌倉聖ミカエル教会執事)の各氏が参加した。

 会場となった舞殿を大勢の参列者が取り囲み、思い思いに祈りをささげる姿も見られるなど、1時間半におよぶ式典の間、境内は厳粛な空気に包まれた。

 祈願祭に続き、托鉢僧や神職と共に、牧師や神父、シスターらが義援金の寄付を呼びかけながら、中心街を由比ケ浜海岸まで行進。満開の桜の下、観光客らが足を止め募金する一幕もあった。行進後、砂浜に備え付けられた祭壇では、海に向かって祈りがささげられた。

 当日の様子はユーストリームで動画中継されたほか、ツイッター上でも開催前から話題になり、「praykamakura」の公式アカウントは700人以上がフォロー。参加者からは「本来の宗教の姿を感じました」「宗教界が動いた」「これこそが日本の凄さ。……平和を願う想いは一つ」などのコメントが多数寄せられた。

 今回、キリスト教内の連絡を担った担当者によると、1981年以来、毎年12月に超教派で共催している鎌倉市民クリスマスの成果は大きいという。2週間という慌ただしい準備期間にもかかわらず、すぐに話がまとまり祈りの分担もできたのは、これまでの積み重ねがあったからこそ。担当者は、「このようなかたちで実が結んだことに、ただただ感動しています」と話す。

 まだ1カ月しか経っていないとは思えないほど、状況は日々刻々と変わり、原発をめぐっては新たな不安も生じている。

 他方、ライフラインと交通網が徐々に回復し始め、宮城県気仙沼市からは、全壊した教会堂の跡地に十字架を立て、簡易礼拝所ができたという報告も寄せられた。

 特別の思いを持って迎えるイースターの礼拝。この事態を宗教者はどう受け止めるのか――多くの人々が期待も込めて注視する中、教会では何が語られ、どんな祈りがささげられるのだろうか。(本紙・松谷信司)

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