投票所で野宿者らの選挙権主張 公務執行妨害容疑 大谷隆夫牧師を逮捕 大坂府警 2011年4月23日
日基教団大阪教区・摂津富田教会(大阪府高槻市)の大谷隆夫牧師=写真・教会ホームページより=が4月5日、公務執行妨害の容疑で大阪府警察に逮捕された。昨年7月11日の参議院選挙の投票日に、大阪市の萩之茶屋投票所で選挙妨害をした疑い。大谷氏を含む5人が逮捕された。
日基教団大阪教区(向井希夫総会議長)は6日、同教区の各教会・伝道所に向けてコメントを発表
「釜ヶ崎をはじめとして、住居がないために基本的人権である選挙権を行使できない野宿者、労働者が大勢います。そのように選挙権が与えられていないという状況は人権侵害であると訴えて萩ノ茶屋投票所で声を発した者に対し、今頃になって大阪府警は行動を起こしたのです」「今回逮捕された大谷さんらが、暴力をふるったり、選挙を妨害したという事実は全くありません。にもかかわらず、このような地方選挙をにらんでの一斉逮捕は、全く不当な政治的弾圧である」と訴えている。
大谷氏は、NPO「釜ヶ崎医療連絡会議」の代表を務め、日雇労働者や野宿生活者の生存権・生活権の確立を目的とした活動を行っている。同法人は、「4・5釜ヶ崎大弾圧救援会」を立ち上げ、支援と大阪府警への抗議を呼びかけている。
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教会敷地内への家宅捜査に抗議 日基教団大阪教区
日基教団大阪教区は、今回の大谷氏の逮捕について、「驚くと共に、憤りを感じざるを得ません」として、4月8日、大阪府警察本部長と同高槻警察署長に宛てて「抗議並びに要請」と題する文書を提出した。
大阪府警が摂津富田教会の牧師宅に家宅捜索を行ったことを問題視し、大谷氏の逮捕に対して次のように抗議している。
「大阪府警は、宗教法人日本基督教団摂津富田教会の敷地(境内地)である牧師宅へと踏み込み、家宅捜索を強行すると共に、同教会牧師である大谷隆夫さんを逮捕していきました。とりわけ、日本基督教団大阪教区は、このことに厳重に抗議をし、一刻も早く大谷さんの釈放を行うことを強く要請いたします。
大谷隆夫さんは、大阪教区内の摂津富田教会の牧師として毎日曜日の礼拝を司り、また週日は釜ヶ崎医療連絡会議の代表として、関西労働者伝道委員会の専従者として、釜ヶ崎の労働者の人権を守るために働いています。関西労働者伝道委員会は、私ども大阪教区関連の委員会であり、大谷さんは、そこで『専従牧師』としての働きをしていました。これらの働きは、当然のことながら、私たちキリスト者としての信仰から生まれてきたものです。宗教法人である教会への家宅捜索、そして牧師の逮捕は、その信仰をも踏みにじる行為であり、断固たる抗議の意を表します」