アムネスティ 世界の死刑動向を報告 中国は数千人を去年処刑か 2011年4月23日
アムネスティ・インターナショナルは、2010年の死刑判決と死刑執行についての報告書を発表し、3月28日、都内で記者会見を行った。
過去10年の進展により、死刑存置国はさらに孤立しつつあることが鮮明になった。2010年は、23カ国が死刑執行を行い、中国の執行数を除き少なくとも527人が処刑された。中国は2010年も数千人を処刑したとみられる。同国の死刑適用については依然として国家機密。
大きな前進としては、2010年1月、モンゴルのツァヒャー・エルベグドルジ大統領が死刑執行停止を宣言。恩赦を申請している死刑囚について、その死刑判決を減刑したことも明らかにした。
最も処刑の多い地域はアジアと中東地域。その内情を見ていくと、国際社会の批判を気にして、刑法の改正や執行数の減少などの動きが見られる。
特筆すべき特徴は、太平洋の島々やオセアニア諸国では全く執行がないことや、米州地域では、アメリカ以外の国ではここ数年執行が行われていない。アメリカでは46人が処刑された。この3月には、イリノイ州で死刑廃止法案が成立。全米で16番目の死刑廃止州となった。
過去の死刑執行国をみると、2002年に31カ国を記録して以降、ゆるやかに減りつつある。中国をはじめ、執行国リストに名前が上がる国々は、イラン、北朝鮮など固定化している。法律上あるいは事実上の死刑廃止国の数は、2001年には108カ国だったが、近年では139カ国になった。
アムネスティは「死刑を止めよう宗教者ネットワーク」と連帯し、例年「祈りの集い」に参加。7月には自由権規約第二選択議定書(死刑廃止議定書)の発効から20周年を迎えるが、これを記念した「アクション」も考えているという。