〝真理を求め、人間を追究〟 創作グループ「ふらここ」児童文学中心に34年 2011年6月11日
本紙主催の「クリスマス童話」(2001年に終了)への投稿を機に結成され、今も続く創作グループ「ふらここ」(事務局・兵庫県神戸市)。1977年に童話作家の故・藤原一生さんを講師として、関西在住のキリスト者・キリスト教理解者が集まってスタートした。年2回の例会は今日まで途切れることなく続いている
現在、会員16人、準会員4人。例会で作品を合評し合い、同人誌「ふらここ」=写真=を発足2年目から発行している。今年3月には41号を発行。活動は34年目に突入した。
「ふらここ」とは、俳句の春の季語で「ぶらんこ」を意味する言葉。初期には「ふらここ童話会」と名乗り、その名の通り小学校中学年以下向けの作品が多く、会員はほぼ全員がキリスト者であった。
活動の成果として、本紙「クリスマス童話」に複数の会員が入選し、一般の生原稿の応募でも賞を受賞。自費出版をした会員は多数おり、商業出版は7人。「ふらここ」を通って作家と認められるようになったのは、畑中弘子さん(退会)、大谷美和子さん、勝間かずえさん、俣木聖子さんで、今もそれに続く人が創作意欲を燃やしている。また97年、第9回上沢謙二賞(キリスト教児童文化協会)もグループとして受賞した。
現在も、春と秋の2回、大阪市内の教会を借りて1日がかりで例会を持っている。作品を批評する目はそれぞれ深みを増しているといえる。しかし、年齢差や個人の経歴などは関係なく、自由な発想と発言がにぎやかに飛び交う合評会の雰囲気は、創設当初からのものである。会員の1人は語る。
「尾を引かない批判と提言、愛ある叱咤激励の例会。20代から80代まで職業もさまざまな会員は、書きながらともに成長してきました」
入会した時は独身、その後結婚・出産・子育てを経て、今や孫を素材に書いている人もいる。遠方に移っても会員であり続ける人たちも多い。創設に携わった湯木尚美さんをはじめ、牧師夫人はこれまで4人。現在は伝道者も1人いる。しかし、「ふらここ」では直接的な証しや伝道活動はほとんど行わない。ある会員は、自らの書く目的をこのように述べた。
「文学を目指す、書くということはその人の人間性が表れます。結果、作者の根底にある信仰が底光りするような作品が多い。与えられた賜物を生かすということは単純にキリスト教的な作品、ということではなく、真理を求め、人間とは何かを追究した完成度の高い作品を生み出すことと考えます」
創作グループ「ふらここ」への問合せは、事務局・山本(℡078・592・5086、Eメールyuyuyam@hotmail.com)まで。