「憲法生かした平和づくりを」 靖国問題考える学習会で西川重則氏 2011年7月16日
「2011年3・11東日本大震災下にあって、改憲の動向と靖国神社の今を考える」と題する公開学習会が6月30日、お茶の水クリスチャンセンターで開催された。靖国神社国営化反対福音主義キリスト者の集い(西川重則代表)が主催したもので、約20人が参加した。
最初に礼拝が行われ、日本長老教会引退教師の村瀬俊夫氏(日本福音同盟理事、平和を実現するキリスト者ネット事務局副代表)が「原発問題・靖国問題をノア契約に照らして考える」と題して説教。「人間は罪を悔い改めて、罪から救い出されて、神さまが望んでおられる平和の道に進まなければいけない」と述べた。
日本国憲法は、過去の戦争の罪を反省し、悔い改めの上に生まれたものだとし、「憲法に示されている平和主義への道、人間の命を大切にする道、人権を尊重していく道を成し遂げていくための国民主権という考え。これは『ノア契約』に照らして、神さまのみこころに適うことだと思う」と主張。靖国神社に反対の姿勢を示した。また、「危険極まりない原発はあってはならないもの。そこから脱却する道を、悔い改めの道として示されていかなければいけない」と語った。
続いて登壇した西川氏は、聖書から「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイ5・9)を引用。「平和をつくり出す者としての靖国神社問題の取り組み」として、暴力・侵略・加害の歴史を繰り返すことはできないと語った。
さらに、愛読個所だというアモス書(5・24)に言及し、「平和を求めるということは、主が喜んでくださる正義だ」と述べ、「日本の中に生かされている者として、アジアに対して、またアジア太平洋戦争で日本の陸軍・海軍・空軍が何をしたのかを学びながら、わたしたちは『戦争絶対反対』ということを言うなら、そのごとく実践しなければならないということをイエス・キリストからも問われている」と主張した。
また、憲法改悪、靖国神社の右傾化の動向に警戒感を示した上で、「憲法を生かして平和をつくり出す」ことを提言。菅直人首相の伊勢神宮参拝を問題視し、「信教の自由、政教分離の問題を徹底的に学ぶ必要性がある」と述べ、今年の8月15日、菅内閣の2度目の靖国神社不参拝を実現するよう求めていくことを訴えた。
参加者からは、「『天皇制反対』と言うことが大事。憲法を改正して1条〜8条をなくすことが一番」という意見や、「若い人に聖書的な世界観を教えるきっかけとして、靖国問題に取り組んだ方がよいのではないか」といった主張がなされた。また、「それぞれの教派の独自性は尊重しながらも、宣教活動や社会活動は、キリスト教会が協力しなければならない、ということを切に感じる」という感想も出された。
参加者の1人は、「西川氏が言うように、教会が戦後史の総括をしていないことに問題がある。牧師がそのことから逃げている。特に福音派の教会ではそれが多いと感じている。疑問を持つ信徒は自発的にこのような勉強会に出ざるを得ない。教会の中でそれを話せない雰囲気がある」と感想を述べた。
靖国問題考える学習会
西川重則氏「憲法生かした平和づくりを」