キリスト教本屋大賞 授賞式に日野原重明氏、桃井和馬氏 2011年9月24日
「売りたい本」で活性化
キリスト教出版販売協会販売部会(石川正信部会長)が主催する「キリスト教本屋大賞」の授賞式が9月5日、同協会の夏期例会中に行われ、記念すべき第1回の大賞に選ばれた『愛とゆるし』(教文館)と、2位に入賞した『すべての生命にであえてよかった』(日本キリスト教団出版局)のそれぞれの著者である、日野原重明(聖路加国際病院理事長)、桃井和馬(フォトジャーナリスト)の両氏が参加した。
同賞は、キリスト教出版販売協会に加盟する全国のキリスト教専門書店が、2010年刊行の本から「売りたい・お勧めの本」を投票形式で選んだもの。今年1月の関係者らによる会議で提案され、低迷する業界を少しでも活性化させようと開催する運びとなった。一次選考でノミネート作品10点が選ばれ、二次選考を経て大賞が決定した。
10月4日で100歳を迎えるという日野原氏は授賞式で、「これまで数多くの本を書いてきたが、キリスト教出版の関係者から表彰されることはとりわけ感銘が深い」と喜びを語り、「相手を変えるのではなく、自分が先に変わることが『ゆるす』ということ」と同著に込めたメッセージを強調した。『愛とゆるし』は、日基教団滝野川教会で10年間続けた医師としての証しをまとめたもの。
推薦の理由として「著者のクリスチャンとしての歩みは、生き方そのものが神様への感謝に満ちており、教会へ誘いたい方へのプレゼントにちょうどいい」などの声が寄せられている。
3位以下には『聖書を読んだサムライたち』(いのちのことば社)、『聖書と説教』、『あなたはあなたでいい』(いずれも新教出版社)などが入賞した。第2回の大賞は、来春までに選ばれる予定。
キリスト教出版販売協会 例会で川瀬和幸氏
「販売は路傍伝道のよう」
キリスト教出版販売協会(幹事長・金子和人=キリスト新聞社社長)は第54回夏期例会を9月5~6日、単立キリスト品川教会(東京都品川区)で開催した。同協会の会員社25社から53人が参加した。
「こうすれば売れる」をテーマにしたプログラムでは、2日間にわたって河瀬和幸氏(カワセ・クリエイティブ・カンパニーず代表取締役)が講師を務め、第一部では講演、第二部では販売の実演指導を行った。
河瀬氏は、イエローハットでタイヤ販売日本一を達成し、東急ハンズで8年連続売り上げ1位商品を作った経験を持つ。現在は、「セールスクリエイター」の肩書きで、販売員として店舗に立つ傍ら、販売員養成のために研修会や講演会などで講師として活躍している。中学時代に受洗し、札幌では路傍伝道を行った経験もある。
初日の講演で河瀬氏は、タイヤ販売に苦労した自らの経験を振り返り、「『いらっしゃいませ』を言わない」「客の目線に合わせてプライスカードを置く」など、具体的な販売のテクニックを披露した。また、出版不況と言われる業界の現状については、「努力が足りない」と指摘。「本を知らない人が本を売っている」「書店は本当に本を読んでいるのか」と疑問を呈し、書店での具体的な宣伝方法として、書評を書いたPOP広告を用いることを提案。書店と出版社が協力しながら売り方を考えていくべきだと主張した。
さらに、キリスト教の教勢が伸び悩んでいることにも言及し、「牧師がさぼっている」「祈りの中に逃げ込んではいけない」「販売は路傍伝道のようなもの」と語った。
2日目の第二部では、会員社のうち10社から各1人ずつが販売の実演を行い、相手との話し方や距離の取り方など、河瀬氏が具体的なアドバイスを行った。
初日に開かれた同協会の総会では、2010年度事業活動報告、収支決算報告、2011年度事業活動方針案、収支予算案が承認されたほか、バイブルハウス南青山(東京・表参道)の加盟が承認された。また、新年度の幹事社に教文館、新教出版社、聖文舎(名古屋聖文舎)、日本キリスト教団出版局、キリスト新聞社、日本聖書協会、横浜キリスト教書店、監査社に日本キリスト教書販売が選出され、総会後の第1回幹事会で、幹事長に伊奈均志氏(聖文舎社長)が選任された。