米同時多発テロから10年、キリスト教指導者らが声明 2011年10月1日
2001年9月の米同時多発テロから10年を迎えた9月11日朝、ニューヨークでは世界貿易センタービルの跡地グラウンド・ゼロで追悼式典が開かれた。バラク・オバマ米大統領夫妻、ジョージ・ブッシュ前大統領夫妻ら多数が参列。式典の会場周辺は通行止めになり、各地でもテロを懸念して厳戒態勢が敷かれた。国防総省や、首都を標的にしていたとされる航空機が墜落したシャンクスビルでも追悼式典が開かれた。
ニューヨークの国連本部では9日、犠牲者を追悼する式典が国連総会議場で行われ、各国大使らが黙とうをささげた。コンドリーザ・ライス米国連大使は、米国が国際社会と協力し、国際テロ組織アルカーイダを壊滅させ、世界のテロ防止に全力を挙げる決意を示した。
一方、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンは10日、「米国とその同盟国が何万人ものイスラム教徒を殺害した事実は西洋民主主義国家にとって永遠の汚点として残るだろう」と述べ、同時テロを根拠にした米国主導のアフガン攻撃を非難、徹底抗戦を改めて表明した。
教皇ベネディクト16世はニューヨークのティモシー・ドーラン大司教にメッセージを送り、多くの無実の人々を神の無限の憐れみに託すと共に、愛する者を失った人々が神の慰めに支え続けられるよう祈った。教皇はこれらの悲劇を生んだ犯行が神の名を用いて行われたことを厳しく非難、いかなる状況においてもテロ行為が正当化されることは決してないと改めて強調した。
教皇は「すべての人の命は神の目にとって大切なものであり、すべての人と人民の譲り渡すことのできない権利に対する真の尊重を世界に推進するため、その努力を惜しんではならない」と述べ、米国民が救助活動で示した勇気と寛大さ、希望と信頼のもとに前進する回復への力を賞賛。
正義への確固とした取り組み、グローバルな連帯の文化が、暴力をしばしば引き起こす状況を世界から取り除き、より明るく安全な未来を目指して、いっそうの平和と繁栄を作り出す助けとなるよう祈った。
世界教会協議会のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事はメッセージで、エキュメニカル(教会一致)運動に携わる者として、異なる信仰を持つ人たち、特にキリスト者、ユダヤ教徒、イスラム教徒との間の対話に関わってきたとして、宗教には大きな力と重要性があるにもかかわらず、信仰が憎しみ、恐怖、戦争に火を付けるために捻じ曲げられ、悪用され得ることを認めなければならないと指摘。「わたしたちの多くは、非暴力こそが、暴力に対する長い視野に立った応答として役立ち、正義の基づく永続的な平和への最も効果的な方法だ、となお確認している」と述べた。(CJC)