伊アッシジで「宗教者サミット」 伝統主義者は“冒涜的”と批判 2011年11月12日
【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が主宰して世界の宗教者代表が平和を祈り、諸宗教の対話を目指す会議が10月27日、イタリア中部アッシジで開かれた。「宗教者サミット」とも呼ばれる会合は、1986年に当時の教皇ヨハネ・パウロ2世の呼び掛けで初めて実現したが、それ以来の開催となった。
会議には世界50カ国以上からキリスト教指導者だけでなくイスラム教徒、ヒンズー教徒、仏教徒、ユダヤ教徒、シーク教徒、神道、道教、ジャイナ教、ゾロアスター教の代表、アフリカの民俗信仰者、無神論者、不可知論者も参加した。日本からは神道や仏教の関係者らも出席した。
キリスト教では、世界教会協議会のオラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事、正教会エキュメニカル総主教バルトロメオス1世はじめギリシャ、ロシア、ルーマニア、セルビア、ベラルーシの各正教会、ルーテル派、メソジスト、バプテスト、長老派などが参加した。
バチカン(ローマ教皇庁)正義と平和評議会議長のピーター・コドヴォ・アピア・タークソン枢機卿は、「わたしたちは、善に対する宗教の偉大な力を証しするために、また平和を作り出し、紛争の当事者を和解させ、人々を創造との調和に立ち帰らせるという共通のコミットメントを新たにするため、ここに来た」とあいさつした。
教皇は、会議参加者を歓迎し、宗教を理由に戦争やテロが行われてきたと指摘、「ただ、それは宗教の本質ではない」と強調した。また、キリスト教信仰が武力行使に利用されたことがあったことも認め、それは「大きな恥辱」と語った。
一方、カトリック教会の伝統主義者グループ「聖ピオ10世会」は、これほど多くの「虚偽宗教」指導者がそれぞれの「神」に祈るような会合を教皇が主催するとは、と会合を「冒涜的」と批判。非カトリック者にカトリックへ改宗するよう呼び掛けた。
「聖ピオ10世会」米国管区長のアーノー・ロスタン神父は、アッシジで行われた超宗教的な催しは「神の第1戒『わたしのほかに神があってはならない』に直接反するものだ」と非難した。そして米国の同会は信徒に対し、「特に現在盛んになっているエキュメニズム(一致)に反対する」信仰防衛のために祈るよう求めた。
フランス管区長のレギス・ド・カッケリ神父もアッシジ会合を非難し「三位一体の神を否定した祖先に忠実なユダヤ人といることを神が喜ばれる、という考えを誰が受け入れられるだろうか」とする声明を発表した。