日基教団宣教委小委員会が全国交流会 「東日本大震災を通して障がい考える」 2012年8月11日
日基教団宣教委員会「障がい」を考える小委員会(加藤幹夫委員長)は7月3~4日、「東日本大震災を通して障がいを考える」をテーマに第3回「障がい」を考える全国交流会を戸山サンライズ(東京都新宿区)で開催した。約40人が参加した。
初日には、日基教団奥羽教区・宮古教会員の北村嘉勝氏(元社会福祉法人カナンの園職員)=写真左下=と同教団東北教区・石巻栄光教会員の大林健太郎氏(「べてるの家に学ぶシャロームいしのまき」会長)が震災の体験を語った。
北村氏は、対人不安が強く、社会的関係の理解が難しい宮古教会員のSさんのことを紹介。Sさんは、教会を唯一の安心できる場としていたが、震災後、盛岡YMCAが同教会を活動の拠点としたり、被災地の研修などで、顔見知りでない人たちが教会を訪れることに、「怖い」「心傷つけられた」と感じたという。「Sさんのような人もいるということをどう考えたらよいか」と北村氏。
牧師が別の教会の説教や講演に呼ばれたり、別の教会の牧師が応援に来て説教することについても、「宮古教会の日常性ではない」とし、「被災地の現状や教会の現状を牧師が伝える役があることは分かるが、それと教会の日常性の回復ということのバランスが、わたしたち教会員の課題」と指摘。「支援する者、される者、障がいを語る者、語られる者の間には、どうしても受けとめ方の違いがある。その多様な受けとめ方を、上手い具合に交流していきながら、みこころに適うような道を進めればよいと思う」と語った。
大林氏=写真上=は、精神障がいを体験した当事者とその家族、および支援者らが集う「べてるの家に学ぶシャロームいしのまき」の活動に言及。同会では毎週「土曜ミーティング」を行い、石巻地域の海産物や水産加工食品の販売も行っている。
大林氏は、統合失調症を抱えたメンバーが避難所から仮設住宅に入るまでの話を紹介した上で、精神障がいを「人付き合いに困難を生ずる病」と表現。「理解力や記憶力が低下したり、根気が続かなくなったり、人の話声が悪口に聞こえたりする」とし、不甲斐なさや腹立たしさを抱えて、普通に暮らすことに何倍ものエネルギーを費やしながら弱さを抱えて生きているのだと述べた。
「コミュニケーションは、人と人とのふれあい、人と人とのつながり。弱さはコミュニケーションの起点である。弱さを起点にして、本当の人のつながりが生まれてくるのではないか」と提起し、「復興にわたしたち精神障がいを体験した者たちが参加して、石巻地域の回復に貢献できることを夢見ながらミーティングを続けている」と語った。
同交流会は、障がいの苦しみの根底にある心、魂への配慮を豊かにするために、教会における取り組みの分かち合い、東日本大震災を通しての体験の分かち合いを目的としている。