野田内閣閣僚の靖国参拝に教界が抗議 〝アジア諸国との信用失われる〟 2012年9月1日
野田内閣の閣僚のうち、松原仁国家公安委員長兼拉致問題担当相と羽田雄一郎国土交通相が8月15日、東京・九段北の靖国神社を参拝した。民主党政権では初となる閣僚の靖国参拝に抗議の声が相次いだ。
日本同盟基督教団「教会と国家」委員会(柴田智悦委員長)は14日、羽田氏に対して「8月15日の靖国神社参拝表明に抗議し参拝中止を求める声明」を提出。閣僚の参拝が憲法第二〇条に違反することを指摘し、「国土交通大臣という公職にある者が靖国神社参拝を行うことは……憲法第九九条に定められている、公務員の憲法尊重擁護義務違反であって、許されることではありません」と主張。総理大臣と閣僚の公式参拝を自粛する方針を表明していた野田首相の意向に言及し、「野田内閣自体の盤石性が揺らぎ、諸外国、特に、日本が侵略した中国、韓国を初めとするアジア諸国との間に築きつつある信用が、再び失われてしまうことは明らかです」と訴えた。
さらに、同氏がキリスト教主義の高等学校在学中に洗礼を受けたとされることに触れ、「靖国神社を参拝し『英霊』に頭を下げることは、十戒の第一・第二戒に背く偶像礼拝にほかなりません」とし、「貴殿が一刻も早く神である主に対して悔い改めを表明し、魂の救いを回復されることを祈り求めます」と述べた。
美濃ミッション代表の石黒イサク氏も14日、羽田氏に宛てて参拝中止を求める抗議文を送った。美濃ミッションが1930~33年に神社参拝を拒否したために迫害され、弾圧された歴史を踏まえ、「もし平気で参拝を続けるのであれば、クリスチャンでは無いということを公式に表明してください」と要求。「神社参拝、特に靖国参拝を行うならば、戦前の信者迫害・弾圧を後押しした人たちと同じ事を、私たちクリスチャン同胞にしようとしているのです」と訴えた。
平和遺族会全国連絡会(西川重則代表)は15日、「野田内閣閣僚の靖国神社参拝に対する抗議声明」を発表。閣僚の参拝が憲法第二〇条の違反であることを訴え、「(参拝の強行が)天皇制の復権に道を開くだけでなく、想像以上に大きな影響を及ぼすことは否定できません」と主張。「民主党政権として、東アジア共同体構想を主張していたこととも矛盾しており、中国を始めアジアとの友好関係を無視する参拝であり、到底納得できません」とした。