舞香さん朗読芝居披露 知里幸恵しのび「シロカニペ祭」 日本福音ルーテル本郷教会 2012年10月20日
天才と呼ばれたアイヌのキリスト者、知里幸恵(1903~1922)は、アイヌ民族の口承文学、カムイユカラをまとめた「アイヌ神謡集」を残したことで知られる。19歳の若さでこの世を去った。
故郷を遠く離れた東京都文京区本郷で亡くなった知里をしのび、9月18日、日本福音ルーテル本郷教会で召天記念日「シロカニペ祭」が開催された。同祭は、知里の生涯を一人芝居で演じる女優の舞香さんらが2年前に始めたもの。
知里は、言語学者金田一京助に語学の才能を認められ、その自宅に身を寄せてカムイユカラをアイヌの言葉から日本語に訳す作業に打ち込んでいた。重度の心臓病を患っていた知里は、「アイヌ神謡集」を完成させた日に召天した。知里が亡くなった金田一家跡の隣に建てられたのが、本郷ルーテル教会である。
同祭は、舞香さんが、ルーテル本郷教会の牧師である安井伸生氏に提案したことに端を発する。
この日、礼拝堂が満席になる中で、舞香さんが、カムイユカラの朗読芝居を披露した。また、「アイヌ神謡集」をフランス語に訳した作家の津島佑子氏が同祭呼びかけ人代表としてあいさつした。
北海道大学大学院名誉教授の小野有吾氏が「知里幸恵、東京本郷での129日」と題して記念講演した。