日本宗教者平和協議会結成50周年 〝教派、信条の違い超え連帯〟 『国際シンポ』『福島祈りの旅』を実施 2012年11月10日

 日本宗教者平和協議会(橋本左内理事長)は結成50周年を記念して、国際シンポジウム「21世紀に生きる宗教者――慈悲(愛)と正義と平和への提言」と記念レセプションを10月22日、平和と労働センター(東京都文京区)で開催した。キリスト教、仏教、神道、天理教などから宗教者約80人が出席した。

 単立イエスと歩む会の牧師でもある橋本氏は、「九条安国論=無核無兵・国民福祉の道へ~日本国憲法9条を中心にすえて、新しい倫理に基づく平和の世界を実現しよう」と題して記念講演を行った。同協議会の特徴を「宗教、教派、信条の違いを超えて連帯する実践方法を維持、発展させてきたこと」と述べ、「世界でも傑出したもの」と評価。「自分以外の宗教、信条のすばらしさを知り、尊重すれば、本当の連帯ができる」と強調した。

 シンポジウムには、同協議会副理事長の平沢功氏(日基教団北千住教会牧師)の司会のもと、河崎俊栄(日蓮宗本延寺住職)、ロバート・クッシング(米カトリック司祭)、ゾグビ・ゾグビ(パレスチナ紛争解決センター所長)、殿平善彦(浄土真宗本願寺派一乗寺住職)、美帆シボ(フランス平和市長会議顧問)の4氏が参加。また、東京大学医科学研究所で現在研修を行っているイスラム教徒のユセフ・モハムゥド氏と、ブラジル・ブラジリア本願寺主管の佐藤清浄氏が発言した。

 2005年にカトリックの平和団体パックス・クリスティ・ジョージアの代表として来日し、広島と長崎で原爆投下を謝罪する手紙を披露したクッシング氏は、この出来事のきっかけとなった被爆者の谷口稜曄氏との出会いを振り返った。「正義の戦争」という言葉を否定し、非暴力を訴え、「わたしたちは一つ」「平和は争いが無いことではなく、すべての共通善のためにともに働くわたしたちの相違のうちに表現された、地球全体の霊的交感」と述べた。また、聖体拝領や聖餐式を「命を無条件ですべての被造物に与える信仰者による愛の方策」、核兵器を「無差別にすべての被造物から命を奪う恐れを持つ者による憎悪の共謀」と表現し、「核兵器を取り除かなければなりません」と訴えた。

 1995年、イスラエルのベツレヘムにパレスチナ紛争解決センターを創設したキリスト者のゾグビ氏は、パレスチナ人がイスラエル兵から暴行、虐待を繰り返し受けていることを訴え、同センターで女性や子どもの人権を擁護し、カウンセリングプログラムを行っていることを紹介。信仰による「非暴力的な生き方」は「希望」だと語った。

 その上で、「中東において、イスラエル人とパレスチナ人がともに生きる日を待ち望んでいる。エルサレムに、ユダヤ人、キリスト教徒、イスラム教徒、ヒンズー教徒、仏教徒が皆ともに暮らす日を待ち望んでいる」と主張。「平和なエルサレムに住みたい」「神を信じる者として、死後の生活を信じているけれども、今の人生の中で『神の国』を望んでいる」と強調した。

 同協議会は、シンポジウムの翌日23~24日に、福島原発調査学習・祈りの旅を行い、「日本宗教者平和協議会結成50周年を迎えて~日本国憲法を中心に据えて、世界平和の実現に邁進しよう~」と題するアピール文を採択。「心の平和はすべての人々の幸福なしには達成されません」として、過去における宗教者の「戦争責任」を懺悔・反省し、戦争・人権侵害・環境破壊を強行する勢力に対決して、その危険と悪を取り除くことを宗教者の使命として確認した。

 同協議会は、世界の平和と人類の幸福に寄与するため、宗教者がともに団結して活動する運動体。主な活動内容は、①信教の自由と政教分離の確立、②核兵器の完全禁止と廃絶、③軍事基地の撤去と軍事条約の撤廃、④憲法の擁護と平和・民主条項の実現、⑤人権の擁護と民主主義の発展、⑥環境の保全と回復、⑦宗教者の国際連帯の強化。

 結成は1962年。72年、「インドシナの平和と正義のための宗教者世界集会」を開催し、はじめてベトナム南北統一代表団の入国を実現した。81年には「軍備撤廃・核兵器廃絶を目指す世界宗教者集会」を東京で開催。97年には「宗教者沖縄平和研修ツアー」を実施し、沖縄の宗教者と共同で「宗教者沖縄アピール」を発表した。

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