神奈川建築コンクール 教界関係に脚光 本郷台キリスト教会・上星川教会が優秀賞 アピール賞に聖ステパノ学園「森の中の教室」 2012年12月8日
神奈川県と県内12市が主催する第56回神奈川建築コンクールが行われ、一般建築物部門の優秀賞に、横浜市栄区の日本福音キリスト教会連合本郷台キリスト教会チャーチスクール・保育園(クリスタルチャペル、設計者・保坂猛建築都市設計事務所、施工者・栄港建設)と、同市保土ヶ谷区の日基教団上星川教会(設計者・フォルタレーザ建築設計事務所、一級建築士事務所Structured Environment Limited、施工者・サンウォークコンストラクション)が入賞した。
また同部門のアピール賞に、中郡大磯町の聖ステパノ学園中学校教室棟「森の中の教室」(設計者・竹中工務店東京一級建築士事務所、施工者・竹中工務店横浜支店)が入賞した。
同コンクールは、神奈川県の建築文化と建築技術の向上を図り、魅力あるまちづくりを推進するために、県内の優れた建築物を表彰するもの。同部門への応募件数は65件。その中から、最優秀賞1件、優秀賞9件、アピール賞2件が選出された。
本郷台キリスト教会チャーチスクール・保育園(クリスタルチャペル=写真上)は、総ガラス張りで、1階が保育園、2階がチャーチスクールとして利用されている。審査総評は、「コンセプトが明快で開放的な空間構成による若々しい建築である。樹木と共に敷地に苗木として植えられたような建築が実現している。この空間は、子供たちがのびのびと生活する場として経時的に成長しつづける可能性を表明しているようである」と評価。
今年の5月に献堂式が行われた上星川教会(=写真下)は、三角錐のおむすび型の礼拝堂が特徴。敷地が傾斜地なので、上りやすくするために「スロープカー(斜面昇降設備)」が設置されている。審査総評は、「信者たちの思いを受け止め、困難な敷地条件を知恵と熱意で、克服し、敷地対応への努力や教会としての内部空間の豊かさなど、最終的に手作り的にまとめあげた時に建築空間としての力を感じさせる作品となっている」と述べている。
アピール賞は、既存建築物の有効活用・環境・景観・福祉・防災のいずれかに対する配慮が特に優れていると認められた建築物に対する特別賞で、聖ステパノ学園中学校教室棟「森の中の教室」は、森と一体化する「環境」配慮のアピールが評価された。
11月13日には横浜市開港記念会館講堂で表彰式が行われ、建築主、設計者、施工者が出席した。
本紙に対し、本郷台キリスト教会主任牧師の池田博氏は、「クリスタルチャペルは、地域・自然環境に溶け込む建物というスタンスで設計されたもの。地域のシンボル的存在として注目をあびている。総ガラス張りということもあって、さまざまな創意工夫をこらし活用している」とコメント。
上星川教会牧師の牧野信次氏は、「会堂建築は教会の信徒たちが12年前から目指して努力を重ねてきたもの。設計者も施工者も会堂建築は初めてだった。皆さんの努力が報われた。大手建設会社が多く受賞する中で、無名の建築物が入賞したことは教会としても証になる」と感想を寄せた。