救世軍が漁場監視船を寄贈 〝漁場を守って行きたい〟 宮城県漁連に31隻目の支援 2012年12月8日
救世軍は、11月27日、宮城県牡鹿郡女川町の同県漁連女川町支部に属する離島、出島(いずしま)に配置される「漁場監視船兼 救急搬送船」を寄贈した。6・6トン(全長約17メートル、幅約4メートル)で、船首には、500メートル先をも明るく照らす漁場監視業務のための探照灯(サーチライト)を備える。
同島は、あわび、ウニなどの天然資源に囲まれており、密漁監視は昼夜を問わず行う必要がある。また、24時間稼動可能な状態にあるため、離島における病人など救急搬送のためにも使用され、担架がそのまま入る広い出入り口とゆったりしたキャビン(客室)も備えられている。
同漁協に対しては、すでに30隻の作業船(1・7トン 10人乗)を寄贈しており、この船は31隻目の支援となる。総工費約5300万円は、イギリス、カナダ、オーストラリア東部、の3地域で救世軍に託された資金によってまかなわれ、被災している三陸地方の業者に発注したものである。
同日、強風吹きすさぶ中、出島の港と仮設の番屋(作業小屋)で引渡し式が行われた。これには、漁協支所長、運営委員長はじめ、出島で生まれ育った漁業関係者とその家族約100人が集い、救世軍からは、伝道事業部長の樋口和光少佐があいさつし引渡しの祈りをささげた。
港では、船から「餅まき」がなされ、集まった関係者が投げられた餅を笑顔で拾う姿が見られた。宮城県漁業協同組合女川町支所運営委員長の阿部彰喜(しょうき)氏 は「救世軍が震災直後から炊き出しを行い、また、もっとも早く漁協に支援の申し出を行い、見返りを求めない迅速な支援を行ってくださった事に深い感謝の意を表します。『もうだめかな』と思っていたところに次々になされた、わたしたちの必要にあった支援により、漁業再開に向けた気持ちを持つことができました」と謝辞を述べた。また、出島(いずしま)支部長 須田三憲(みつのり)氏は「これからこの船を使って、わたしたちの漁場を守って行きたい」と話した。
救世軍では、国際的な資金も限られてきている中であるが、復興支援、精神的・スピリチュアルケアのためのプロジェクトなどを今後も続けてゆく計画。