ポーランド映画祭2013 1960年代の作品中心に 2013年11月16日
戦後のヨーロッパで一大センセーションを巻き起こし、世界の映画人に多大な影響を与えたポーランド映画。映画史にその名を刻む戦後ポーランド映画を集めた「ポーランド映画祭2013」が11月30日から2週間の限定で、東京・渋谷シアター・イメージフォーラムで開催される。昨年に続き、現在新作を準備中のイエジー・スコリモフスキ監督が監修として参加。
今回は1960年代を中心として新たに10本の作品を用意。来年最新作「ワレサ」(仮題)の公開を控える“ポーランド映画界の生ける伝説”アンジェイ・ワイダ監督の傑作7本をメインにし、再上映の希望が高かった作品も追加したラインナップだ。さらに60年代ポーランド国内でテレビ放映され、子どもたちを熱狂させた児童アニメも紹介。宗教的な作品もある。
「沈黙」(カジミェシュ・クッツ監督、1963年)は、批評家に高く評価されたクッツの長編第五作。原作はイエジー・シュチギェウが前年に発表した同名小説。原作者とクッツ自身が共同で脚本を執筆した。1945年、街の住民から疎外されている十代の若者が、証拠がないにも関わらず司祭暗殺未遂の嫌疑をかけられる。司祭は若者が真犯人ではないことを承知していながら、その事実が明かされることで自らの地位が失われることを怖れ、沈黙を守り続ける。
また、ジャパンプレミアとして上映されるのは、「イーダ」(パヴェウ・パヴリコフスキ監督、2013年)。60年代初頭のポーランドを舞台に孤児として修道院で育てられた18歳の少女が自身の出生の秘密を知るため、旅に出る。ユダヤ教の家に生まれたヒロインの家族には衝撃の過去が……。
ホロコーストと共産主義の大きな波に見舞われてきたポーランドの光と影をモノクロの静謐な映像で表現した。ワルシャワ映画祭およびBFIロンドン映画祭で最優秀作品賞を受章。
【写真】「イーダ」のワンシーンから(2013年/80分/モノクロ)公式サイト(www.polandfilmfes.com)から