神に栄光を帰すること 遺族への本当の慰めに キリスト教葬儀の現場から、奥田幸平氏講演 2013年12月25日

 「葬習慣と教会葬儀――キリスト教葬儀の現場から見えてくるもの」と題して、キリスト教専門葬儀社「輝」会長の奥田幸平氏(日基教団埼玉新生教会会員)が11月19日、カトリック幼きイエス会修道院(東京都千代田区)で講演した。講演後の分科会では、60人の参加者が意見を交わした。キリスト教カウンセリングセンター校友会のシニア・クリスチャン・クラブ(小澤昭一会長)が主催した。

 製薬会社に40年間勤務し、2005年に定年退職して「輝」を設立した奥田氏は、「日本の葬儀習慣の中でキリスト教葬儀を行っていくことは、いろいろな課題がある」として、実例を挙げながら解説した。

 同氏は、キリスト教における葬儀は、礼拝として行われることが基本だとし、その特徴は、「召された故人を神の恵みと守りの中に委ねる営み」「遺族・関係者に神からの慰めと支えを願い求める営み」であると述べた。

 その上で、鈴木崇巨著『牧師の仕事』(教文館)に基づいて、葬習慣と教会葬儀における留意点を述べた。臨終に際しては、まずは教会・牧師に連絡すること、病院に対してキリスト教葬儀なので旅装束や霊安室での焼香が不要だと伝えることなどを指摘。葬儀の準備の段階では、地域によっては町内会などが関わってくる場合があるため、教会では礼拝を中心に牧師の指導のもとに葬儀が行われることをあらかじめ伝えることが必要だとした。

 そして、「葬式の一番の目的は神さまに栄光を帰すること。そのことが遺族への本当の慰めになる」として、キリスト教を知らない人、葬儀で初めて教会に来る人に対して、弔辞の方法など、事前に一つひとつ説明をしていくことが大切だと強調。中には、写真を中央に置いたり、水やご飯を添えるなど、日本的葬儀習慣を持ち込む人もいるため、教会の方針に合わせて、早めに遺族・関係者に知らせることが必要だと述べた。

 また、故人がキリスト者で、遺族がそうでなかった事例を具体的に示した上で、香典や葬儀費用など遺族が心配していることを丁寧に説明し、不安を解決しながら教会の葬儀について理解を得ることが大切だと強調。葬儀が終わった後のことを心配する人も多いと述べ、「それぞれの教会の考え方があると思うが、葬儀の後の対応を作り上げていくことが大事」として、「葬儀だけで終わらない関係」が重要だと語った。

 最後に、「葬儀社が葬儀を仕切るというような日本の今の葬儀社のあり方は間違っていると思っている。教会またはご遺族が葬儀の主催者である以上、その人たちの考え方・指示に従って、その方々に寄り添って葬儀をしていきたい」と結んだ。

 分科会の後、賀来周一氏(キリスト教カウンセリングセンター相談所長)と奥田氏が参加者の質問に答えた。「『ご愁傷さま』という言葉を使ってもよいか」という質問に対して賀来氏は、「宗教用語ではなく社会儀礼の問題なので、それを使うこと自体は問題ないと思う」としつつ、「神さまの慰めがありますように」というあいさつを例として示した。

 「教会に行っていなくても教会で葬儀ができるか」との質問について奥田氏は、「最近、教会は大きく変化している」と述べ、営業活動で900の教会を訪問する中で、50人の牧師に同じ質問をしたところ、ほとんどが「引き受ける」と回答したことを示し、地域のニーズを受けとめる教会が増えてきているとして、教会に相談することを勧めた。

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