ヘイトスピーチと宗教を問う 出版販売協会「差別と宗教」でシンポ 2014年7月5日

 キリスト教出版販売協会(幹事長・小林望=新教出版社社長)は6月20日、「現代日本の差別と宗教」と題するシンポジウムを日本キリスト教会館(東京都新宿区)で開催した(中央学術研究所後援)。例年、業界内での学習会として位置づけられていた会だが、教会外にも広く呼びかけ、学生らを含む約50人が参加した。

 排外主義的なヘイトスピーチが跋扈し、法的規制も議論されている中、宗教界が民族差別とどう向き合うべきかについて、被差別の最前線で闘ってきた当事者を交え、対話を深める目的で企画されたもの。

 ゲストに迎えたのは、大阪生まれの在日3世である金光敏・キムクァンミン(コリアNGOセンター事務局長)氏、在日大韓基督教会(KCCJ)付属の研究所として1974年に設立された在日韓国人問題研究所(RAIK)で長く所長を務める佐藤信行氏の2人。

 金氏は、息をひそめて暮らしていたという幼少期の思い出を吐露した上で、全国で行われている「在特会」によるヘイトスピーチの実態を報告。この10年間での変化について「日本は、発展途上で未成熟な立ち遅れた国々と見ていたアジアから、初めて対等な関係が求められ始めている」と分析した。

 佐藤氏は、地方のカトリック教会で外国人信徒が多数を占めつつある現状を報告し、「日本に住んでいるのは日本人という固定観念を取り払うしかない」と述べた。

 会場からは、「必ずしもネット右翼=貧困層ではない。差別は教育による影響が大きい」「ヘイトスピーチを克服するためには、明治維新以降の天皇観や国家観を問い直す必要がある」などの意見が出された。韓国から来たばかりという男性は、「もし韓国の日本人学校に対してヘイトスピーチが行われたら、わたしはピーススピーチで対抗する。沈黙は罪だから。問題提起と共に行動をしてほしい」と訴えた。

 金氏は、「私は信仰者ではないが、宗教者には国家を超越する役割を期待したい。国家がなし得ないことをするのが宗教者」と期待を示して締めくくった。

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