ガザ抗争が最大規模に拡大 「第一次大戦の過ちを繰り返すな」と教皇 2014年8月9日
イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を拠点とするイスラム原理主義組織ハマスの抗争は、過去最大規模までに拡大している。
ガザ北部ベイトハヌーンで避難民を受け入れている「国連パレスチナ難民救済事業機関」(UNRWA)の学校が7月24日、砲撃を受け、少なくとも15人が死亡、200人以上が負傷した。イスラエル軍による砲撃の可能性が高いと見られる。
イスラエル軍は現場付近で地上部隊がハマスの戦闘員と交戦していた事実は確認したが、ハマスのロケット弾が学校に着弾した可能性も否定できないとして、「調査を進める」と言う。
UNRWA側は、学校付近でイスラエル軍とハマスが交戦していたため、避難民を別の場所に移動させる時間を与えるよう、事前に軍に頼んでいたという。
国連の潘基文事務総長は同日、学校への砲撃について「この行いを強く非難する」との声明を発表した。
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7月8日から24日までの戦闘で、ガザでは子ども190人を含む788人が死亡したという。イスラエル側は兵士32人を含む35人が死亡した。
UNRWAが受け入れた難民は14万人を超え、2008年12月から23日間続いた戦闘による避難民約10万人を大きく上回った。
UNRWAはガザにある83施設を開放、14万人を受け入れたがどこもほぼ満員状態。住民数千人はガザ市内のギリシャ正教会、カトリック教会、プロテスタント教会などにも避難している。
ガザ地区では28日、イスラム教のラマダン(断食月)明けの祝日に入ったが、双方の攻撃は続いている。
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教皇フランシスコは7月27日、恒例の日曜正午の祈りで、翌28日の第一次世界大戦開戦100年にあわせ、「過去の過ちを繰り返してはならない」「戦争は絶対に良くない。今こそ止める時だ」と警告した。
バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場に集う信徒に向けたスピーチで、教皇はイスラエル・パレスチナ間の戦闘やイラク、ウクライナについて語り、対話を訴えた。
第一次大戦は1914年7月28日、オーストリア・ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告して始まった。18年の終戦までに約1千万人の犠牲者を出している。(CJC)