事業功労者に村岡崇光氏 聖書協会クリスマス礼拝で講演 2015年1月24日
日本聖書協会(渡部信総主事)は12月11日、日基教団富士見町教会(東京都千代田区)で恒例のクリスマス礼拝と聖書事業功労者表彰式を行った。同賞は聖書普及に貢献した人物や団体に贈られるもので、2014年度は世界的なセム語学者の村岡崇光氏(オランダ・ライデン大学名誉教授)が選ばれ、この日のために来日した同氏が、「私のヴィア・ドロローサ――太平洋戦争の爪痕をアジアに訪ねて」と題する記念講演を行った。関係者ら約300人が集った。
村岡氏は1938年、広島生まれ。東京教育大学(現筑波大学)博士課程中退後、70年ヘブライ大学(イスラエル)で博士号を取得。マンチェスター大学(70~80年)、メルボルン大学(80~91年)で教鞭を取った。75年には同協会より「都留・スミス賞」を受賞。聖書ヘブライ語、現代ヘブライ語、シリア語、アラム語、エチオピア語、ウガリト語などに関する著書論文が多数ある。
今回の受賞は、2003年にライデン大学を退職した同氏が、アジア10カ国を自費で訪れ、無償による特別講義を通じてアジア地区の聖書翻訳に貢献したことを称えるもの。この働きは、侵略戦争の歴史に向き合い、口先だけの謝罪ではなく、悔い改めの思いを具体的な形にしたいとの願いから毎年継続してきた。このほど、戦争体験を持つ現地の人々との交流や、日本人として体験し考えたことを記録した『私のヴィア・ドロローサ――「大東亜戦争」の爪痕をアジアに訪ねて』(教文館)も刊行。「ヴィア・ドロローサ」は「悲しみの道」を意味するラテン語。
村岡氏は、出版にあたり「拙著は楽しい読み物ではないが、これをよすがとして愛する祖国の暗い部分をも直視し、考え、その施策に基づいて行動する勇気を持ってこそ日本人としての誇りを確かなものにできる、アジア、世界の人々に信頼される国になれるのではないか」とのコメントを寄せた。表彰式では、「今後も許される限り、アジア太平洋諸国での働きを続けたい」と意欲を見せた。