カトリック日韓で自殺対策シンポ 司祭らが課題を共有「遺族にも共感を」 2015年1月31日

 カリタスソウルとカリタスジャパン(幸田和生担当司教)は昨年11月29~30日、日韓カトリック自殺対策シンポジウムを東京・四ツ谷の上智大学で開催した。カトリック教会が自殺について新たな取り組みを展開しなければならないという共通認識のもと、昨年、韓国で開かれたシンポジウムに続き今年で2回目となる。

 初日のプレカンファレンス「カトリック教会と自死問題」では、高木慶子氏(同大学グリーフケア研究所特任所長)が「現場から見る日本社会における自死者の現状」と題して講演。「カトリック信徒は自死に対して不安と恐怖を抱いており、教会が癒しの場になっていない」という課題を共有し、「遺族の自宅で共に慰め、祈ることで福音が伝えられるのではないか」と提起した。危機感をもった仏教関係者からの講演依頼が絶えないという高木氏。「自死者、遺族を含め、どんな人にも神の無限な慈愛を強調する教会の姿を表し続けたい」と締めくくった。

 続いてカリタスジャパン担当司教の幸田和生氏が、日本の自殺をめぐる状況について報告。2001年の『いのちへのまなざし』(日本カトリック司教団)以来、学習を重ね「遺族の会」や追悼ミサが始められた経緯を説明した上で、「カトリック教会でも、決して自死を良いことだとは考えていない。自死する人を一人でも減らしたいという思いと、不幸にして自死せざるを得なかった人や家族に対する深い共感をもって、これからの歩みを続けていこうとしている」と述べた。

 カリタス韓国担当司祭の氏は、韓国カトリック教会の実践について報告し、「日本のカトリック教会が自殺問題を重視している姿勢に学びたい。カリタスソウルが関心を寄せている理由は、生命倫理委員会に問題の社会的深刻さを訴えるため。教会がどのように取り組むべきかを今回の課題としたい」と語った。

 翌30日には、秋田県月宗寺住職の袴田俊英氏やNPO法人全国自死遺族総合支援センター代表の杉本脩子氏らも交え、自死問題をめぐり宗教者にできることについて討議した。

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