旧約聖書学「彷徨」これからも 東京女子大・守屋彰夫氏が最終講義 2015年2月28日

 東京女子大学人文学科キリスト教学教授の守屋彰夫氏=写真=による最終講義「旧約聖書学彷徨――展望を目指して」が2月7日、同大(東京都杉並区)で行われ、学生、教職員ら関係者約80人が聴講した。

 同講義は大学院ゼミ生の主催で企画されたもの。講義の前には、同大学長である小野祥子氏からのあいさつがあり、大学の宗教教育における守屋氏の業績を振り返った。在学生、卒業生からの花束贈呈の後、茶話会では日本聖書学研究所所長の廣石望氏(立教大学教授)、親交のある古川敬康氏(西南女学院大学教授)らによる祝辞があり、守屋氏を慕う人々が前途を祝福した。

 本講義で守屋氏は、自身の学問的な歩みを「彷徨」と捉え、自身が研究を始めた1970年代に、旧約聖書学においてJ・ヴェルハウゼン以来盤石と考えられてきたモーセ五書の資料仮説が根底から覆り、「旧約聖書の緒論が書けなくなった」という恩師・関根正雄氏の話を紹介した。

 ヤハウィスト資料の低年代化により、それまでは重要視されていなかったペルシア時代(捕囚期間後)のユダヤ教が今や旧約聖書研究の重要な分野になっていることなど、旧約研究の主流の変遷の中を「彷徨」したことを振り返り、旧約聖書学も自分自身も翻弄された時代の中で、死海文書をはじめとした聖書外資料への関心を一貫して持ち続けたことを振り返った。

 また、「宝クジに当たったようなもの」と自称する文科省からの科学研究費、国際学会開催費、成果出版助成金すべての支給を受けて、秦剛平氏と共同で開催した国際研究集会「ヘレニズムとローマ時代におけるモーセ五書本文伝承史」について紹介し、海外の聖書研究者との豊かな交流の思い出を語った。

 定年退職後は、同大などで非常勤講師を勤めつつ、聖書註解の執筆及びサマリヤ五書のさらなる研究を進めるという。また、昨年には日基教団正教師の資格も取得しており、牧会にも奉仕していきたいと語った。

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