〝平和への危機乗り越え、和解を〟 政治学者・中野晃一氏が講演 2015年3月7日

 「あらためて今、平和を考える――戦後70周年目を迎えた平和への危機を乗越え、東アジアの和解を」と題して、政治学者の中野晃一氏(上智大学国際教養学部教授)=写真=が2月12日、カトリック聖イグナチオ教会アルペホール(東京都千代田区)で講演した。日本キリスト教連合会(岡田武夫委員長)が主催し、50人が参加した。

 中野氏は、過激派組織「イスラム国」(ISIL)による今回の人質殺害事件について、「集団的自衛権の行使を中心とする『積極的平和主義』の先取りをしてしまったようなところがある」とし、「今後日本が集団的自衛権を行使することになり、中東などで戦闘行為に関わったり、後方支援をすることになれば、こういった事件が増えていくのは明らか」と主張。「憲法9条が我々の平和・安全を守るに際して、どれだけの重みがあったのか、あらためて認識させられる」と語った。

 昨年7月に集団的自衛権の行使容認が憲法解釈の変更によって閣議決定されたが、その解釈改憲の中身は、「国家の存亡・存立にかかわる事態になった場合に集団的自衛権を発動できる」というもの。

 そこには二つの可能性があり、一つは従来の専守防衛の考え方で、「集団的自衛権と称するものの中の個別的自衛権と重なる部分しか認めていない」という読み方。もう一つの可能性は、「政府が集団的自衛権を行使したいと言う時は、すべて国家の存亡の危機だと言い張らなければいけなくなる」ということであり、「これから日本がやる戦争は全部自衛の戦争になる」として、それは戦前に戻ることだと訴えた。

 さらに、日本がこれまで東アジアの和解に努力してきたことに触れ、それをないがしろにする安倍首相の「歴史修正主義」の問題点を論じた。

 最後に、「仲間を増やす以外にない」と述べ、「戦後の平和主義は問題もあるが、我々にとって大切なもの。話しかけて訴えれば多くの人は反応する」として、伝え方を工夫することを提唱。新聞や放送などのメディアに対して、批判をするばかりでなく、内容が良かった時には「すばらしかった」と伝えることが必要だと訴えた。

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