「首相の靖国参拝は政教分離違反」 違憲訴訟で神父、弁護士が意見陳述 2015年3月28日
安倍晋三首相による靖国神社参拝(2013年12月26日)は憲法の政教分離原則に反するとして、その違憲性などを訴える「安倍首相靖国参拝違憲訴訟」の第3回口頭弁論が3月9日、東京地裁で開かれた。
この裁判は、日本人と在韓の韓国人らが原告となり、昨年4月、国と首相、参拝受け入れに積極的な役割を果たした靖国神社を相手取り、参拝の違憲確認、差し止め、慰謝料1万円の支払いを求めて提訴したもの。
この日は、オーストラリア生まれのカトリック司祭、マッカーティン・ポール氏=写真=と、第二次原告として加わった中国・江蘇省の弁護士、劉恵明(リュウホイミン)氏が意見陳述を行った。
79年に来日し、98年から聖コロンバン会の正義と平和担当者を務めるマッカーティン氏は、カトリック教会がイエスの教えを無視して十字軍、宗教裁判、植民地化に関与した歴史に言及し、「キリスト教に限らず、すべての本物の宗教は、平和を希求します。それとは反対に靖国神社は戦争を賛美しています。安倍首相の靖国参拝は平和を望む人々の気持ちを無視しています」と訴えた。同氏の親族は第二次大戦で日本軍との戦いにも参加。伯父は戦死している。
95年に日本へ留学し、1999年から2年間、日本の法律事務所で研修・勤務したことのある劉氏は、「多くの誠実な日本人が中日友好のために努力していることを知っているからこそ、首相が意図的に侵略戦争の事実を否定するのは容認できません」と強い憤りの意を表した。
閉廷後に行われた報告集会では、原告と支援者らが集い、弁護士らから報告を受けた。劉氏は、「多くの中国人が理解できないのは、A級戦犯が合祀された靖国神社へ参拝することで過去の侵略戦争を肯定し、美化していること。戦後70年を迎えるにあたって忘れていけないのは、今日の日本の発展の原点は過去の侵略戦争の否定ではないか。過去を否認してはいけない」と呼びかけた。