「キリストの平和」感謝して生きる 政池仁の召天30年を記念 2015年4月18日

 内村鑑三の弟子であり、アジア・太平洋戦争に際して一貫して非戦論を唱えた独立伝道者・政池仁(1900~1985)。その召天30年を記念する講演会が3月28日、在日本韓国YMCAアジア青少年センター(東京都千代田区)で開かれた。政池から指導を受けた関根義夫(精神科医、浦和キリスト集会主宰)、田村光三(明治大学名誉教授、東京聖書集会会員)の両氏が講演。政池聖書研究会を引き継ぐ東京聖書集会が主催し、60人が参加した。

 1964年から政池聖書研究会に属した関根氏は、「『静かな細い声』を聴き続けた人」と題して講演。政池の著作集を引用しながらその生涯を振り返った。その上で、「今わたしたちが置かれているこの国のありさまも、世界の状況も、極めて危ういものを感じる」と述べ、「自分は今どこに立っているのか」とあらためて確認することが必要だと主張。「内村や政池をはじめ、先人たちがそれによって歩んできた神の子イエス・キリストの福音の原点に立ち返って、神の前に真実に歩む者になりたい」と訴えた。

 「福音と平和の証し人として」と題して講演した田村氏は、政池の「平和」に関する文章を引用し、コロサイの信徒への手紙に示された「キリストの平和」が日本と世界に行き渡るように政池は終始祈り働いていたと解説。「この世の平和」以上に「キリストの平和」に感謝して生きることを政池は繰り返し強調していたのだと語った。それを踏まえ、経済的な豊かさの追求だけでなく、「キリストが何のために十字架にかかり、わたしたちに何を求めていらっしゃるかを真剣に考えなければ、本当の平和を享受することはできないのではないか」と結んだ。

 政池仁(まさいけ・めぐむ/じん)=1900年愛知県生まれ。23年、内村鑑三の聖書研究会に入会。26年、東京帝国大学理学部化学科卒業。28年、静岡高等学校(旧制)に化学教師として赴任。31年、満州事変について日本軍による中国侵略を批判し、33年に教師を辞職。上京して独立伝道を行った。

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