「障壁を取り壊すことが望み」 庭野平和賞にエスター・アビミク・イバンガ氏 2015年6月13日
公益財団法人庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長)は、今年で32回目となる庭野平和賞に、「障壁なき女性たちのイニシアチブ」の創設者であるエスター・アビミク・イバンガ氏(ナイジェリア)を選んだ。5月14日、東京都港区の国際文化会館を会場に行われた贈呈式には関係者ら約140人が集い、イバンガ氏には賞状と顕彰メダル、賞金2千万円が贈られた。
イバンガ氏は大学で経営学を学び、1986年から16年間ナイジェリア中央銀行に勤務する。その間の95年に「ジョス国際キリスト教伝道会」を設立した。2010年に「同イニシアチブ」を創設し、会長としてナイジェリア国内の紛争地域で平和を求める女性達が声を挙げやすい状況を形成し、紛争状態にあるコミュニティ間の対話、調停に力を注いできた。平和構築のための女性の訓練、社会的弱者の権利擁護、紛争解決に向け、女性による創造的、非暴力的、包括的アプローチの開発など「同イニシアチブ」の実現を弛むことなく追及したことなどが評価された。
イバンガ氏は受賞の報せを受けた時、これは詐欺メールだと思ったという。仏教徒が設立した団体がアフリカに住んで何の関係もつながりもないわたしになぜと、理解できなかったと話し、世界に向けて人間の生命尊重の道を示し、平和に向けて世界の数多くの宗教のエネルギーを結集させた、この類まれな財団の創設者である庭野日敬師とこの価値を今日まで引き継ぎ実践されている人々に応答していくことが皆に求められていると語った。
イバンガ氏はナイジェリアの状況と働きについて講演で次のように述べた。
「これまで数えきれないほどの戦争、殺人、融解、暴力に苦しんできました。そのほとんどが民族や宗教の違いによるものです。この苦難の最大の被害者は女性や子どもたちでした。わたしたちは政治に巻き込まれることを拒絶し、前向きに解決策を求めることを旨としました。民族や宗教の違いを利用して政治が作り上げた障壁を取り壊すこと、それがわたしたちの望みです」