キリスト教主義大学の課題とは 大西晴樹氏が恵泉女学園大で講演 2015年6月20日
2012年に刊行された『キリスト教学校教育同盟百年史』(教文館)の編纂委員長を務めた大西晴樹氏(明治学院大学経済学部教授、キリスト教史学会理事長=写真)が、「キリスト教主義大学の現状と課題」をテーマに5月30日、恵泉女学園大学(東京都多摩市)で講演した。「恵泉スプリングフェスティバル2015」の企画として同大学キリスト教文化研究所(李省展所長)が主催したもので、約50人が出席した。
大西氏は、『百年史』と合わせて『キリスト教学校教育史話』(4面に紹介記事)でも言及しているキリスト教学校教育同盟の「未来に向けての五つの提言」について、明治学院大学長、同学院長を歴任した自身の経験を踏まえながら説明した。
五つの提言とは、①キリスト教学校教育の理念の明確化と一致、②エキュメニズムによる発展、③キリスト教による人間教育の推進、④キリスト教学校教育の担い手の育成、⑤組織改革の必要性――総会改革を例に。
①に関して大西氏は、明治学院大学の学長のクリスチャンコード廃止に触れ、「キリスト教教育が自明の理でありすぎたことに問題がある」と指摘。「キリスト教に基づく人格教育」という建学の精神は、「キリスト教がわからない人にとっては一体それが何であるかわからない」と述べた。
一方で、「Do for Others(他者への貢献)」という教育理念はキリスト者でない教職員でもわかると主張。その教育理念に照らした、「他者を理解できる人間の育成」「分析力と構想力を備えた人間の育成」「コミュニケーション能力に富む人間の育成」「キャリアをデザインできる人間の育成」「共生社会の担い手となる人間の育成」という同大学の五つの教育目標を紹介し、教職員に教育目標が共有されていることが大事だと強調した。
キリスト教大学におけるキリスト者教員の比率低下について会場から質問を受けると、「キリスト者ではないけれどもキリスト教教育にシンパシーを持っている教員が多くいる」とし、「キリスト教学校教育が発信するものが、その人たちに受け入れられている」のだと述べた。