〝教会・教区超え、全体教会に仕える〟日基教団全国信徒会 65年ぶり大会に212人 2015年7月11日
日基教団の信徒による組織「全国信徒会」が約半世紀を経て再結成された。「主にある一致」「賜物の分け合い」「会員相互の交わり」を通して、教団の福音伝道推進に寄与することを目的としている。6月9日、富士見町教会(東京都千代田区)で再結成第1回全国信徒大会が行われた。全国信徒大会の開催は、1950年以来65年ぶり。信徒・教師合わせて212人が出席し、聖餐を共にした。
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全国信徒会は、日基教団信仰告白を告白し、教団所属教会の信徒となった者で、会員の紹介により、理事会の承認を得た者が会員になることができる。会員数は8日現在で93人。
大会は同教団伝道推進室の後援で行われた。冒頭の礼拝では、伝道推進室から派遣された富士見町教会の藤盛勇紀牧師が「天の王座に連なる我ら」と題して説教し、聖餐式を執行した。
あいさつに立った全国信徒会会長の望月克仁氏=写真下=は、「教団の信仰告白を告白しながら、全体教会に仕える思いを持って活動を続けていきたい」と表明。大会開催に至るまでに、3年前に逝去した日下部教会信徒・小林貞夫氏の先駆的活動があったことを報告した。
来賓として、第39総会期教団総会議長・石橋秀雄、前総会議長・山北宣久の両氏が祝辞を述べた。石橋氏は、「日基教団の5万の礼拝者たちが伝道に燃えて立ち上がったら日本の伝道は推進される」として、伝道に燃える信徒の群れの新しい出発は、教団にとって大きな希望だと期待を込めた。
「生きた石として霊の家を建てる使命――神の民の献身」と題して記念講演を行った阿久戸光晴氏(滝野川教会牧師、聖学院理事長・院長)は、「信仰者がイエス・キリストと同じ生きた石として用いられることが大事」とし、「イエス・キリストと心を共鳴する存在」「イエス・キリストをあらゆるところで見出していく存在」であることが伝道の活力になり、信仰のいのちの力になると語った。
出席者212人の内訳は、教師26人、信徒186人。年齢は70代が90人と最も多く、60代38人、80代25人と続いた。教区別では、関東14人、東京124人、西東京34人、神奈川18人、東海9人、大阪1人、兵庫2人、西中国3人、九州1人、沖縄2人、その他4人。
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全国信徒会の前身である日本基督教信徒会は、日基教団が成立した1941年の秋に組織された。47年に再組織され、信徒間の親睦を図り、教団の諸活動を後援し、国内外のキリスト教徒・団体との親善友好を図ることを目的とした。50年には富士見町教会と東京神学大学を会場に、全国信徒大会が開催され、教職228人を含む1595人が出席した。54年には小教会支援互助活動として会堂共済組織を研究・提案し、第8回教団総会で「会堂共済組合」が設立された。
各教区でも信徒会が発足した。47年に発足した東京教区信徒会は50年に「東京信徒会」に名称変更し、信徒伝道の前衛として、移動クリスマス(51年)、墓所建設の発議(56年)と竣工(57年)、電波伝道とそのための献金の呼び掛け(59年)などを行った。54年には大阪教区信徒会が発足した。
63年、全国から約70人が熱海に集まり、第1回信徒活動会議を開催。信徒伝道の展開を協議し、全国59地区に信徒会を作ることを目指した。各地で信徒会が立ち上がる一方で、十分な活動ができないところもあり、67年の第13回教団総会で、有志により再び信徒の活動の重要さが語られた。
ところが69年、教団常議員でもあった全国信徒会長の長谷川保氏が万博キリスト教館出展問題に絡む教団内部の対立について執筆した「信徒会報」の文章をめぐり、常議員会が紛糾。翌70年に開催予定だった第17回教団総会報告書の「全国信徒会報告」を最後に全国信徒会は実態を失った。その後、90年に東京教区臨時総会が開催されるまで19年間総会が開かれず、その間総会の開催を求める信徒・教職の動きが活発化した。
2002年、下谷教会で東京信徒会が再結成され、06年以降、教団総会の中で「信徒交流の集い」が開催されてきた。09年11月には、「日本伝道150年記念信徒大会」が東京山手教会で開催され、全国166教会から954人が参加。
2012年の「第4回信徒交流の集い」で全国信徒会再結成に向けた準備が進められ、翌13年の東京信徒会協議会には、大阪、沼津、埼玉からも参加者が駆け付けた。そして昨年、「第5回信徒交流の集い」で発起人130人により、「全国信徒会再結成発起人会」が開催され、再結成が宣言された。
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全国信徒会副会長で事務局を担当する鈴木功男氏によると、今回の信徒大会の会場に富士見町教会が選ばれたのは、1950年に信徒大会が行われた場所だからであり、同教会は「全国信徒会のふるさと」だと語る。
信徒だけでなく教師にも参加してほしいと、開催日を火曜日にした。「信徒だけで盛り上がるのもよいが、教師が加わって見守り、教会に帰ってそのことを伝える。教師の言葉から伝わっていくことが重要」だと言う。一方で、平日の開催ということに反発もあった。「それでも会社に休暇届けを出して参加した人が何人もいた。普通、教会の仕事は会社の仕事の二の次だと考える。そうではない。教会の仕事は第一番」と鈴木氏は強調する。
キーワードは、「教会を超え、教区を超え、全体教会に仕える全国信徒会」。「教区組織は教師だけが作っているわけではない。信徒も加わって教区レベルの活動がなされる。教団には教団の組織があるが、やはり教師だけで活動しているわけではない。信徒も一緒になって担っている。全体教会をどうやって支えるかという問題。そこに『全体教会に仕える全国信徒会』というこの組織の意味がある」
全国信徒会の主な活動は、伝道、奉仕、広報、会員拡張、研究調査など。入会の際に希望の活動を選択する。今後、活動ごとにグループを作り、具体的な活動内容を決めていく。総会は2年に1回で、次回は関西での開催を予定している。年会費は1口3千円。詳細はホームページ(http://www.uccjshintokai.org/)を参照。
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望月会長のコメント=先達の祈りと願いを継承し10年にわたり5回の「信徒の集い」を重ねて備えて参りました実りが、第1回信徒大会の開催となりました。開会礼拝で、教団の信仰告白を告白し聖餐を祝いたいという願いが叶えられました。各地から26人の教師を含めて212人が一堂に会しました。願いは一つ。「主にある喜び」を運びたいのです。「復活の生命の勝利」を高らかに賛美し、福音宣教の戦線を教師を助けて元気に戦い抜きたいと祈り願います。