マルティン・ルターの足跡めぐる旅 聖書協会・教文館の企画、立野泰博氏が報告 2015年8月8日
日本聖書協会と教文館の共同企画「ドイツ・ポーランド巡礼の旅10日間」が6月22日~7月1日に行われた=写真。団長を務めた立野泰博氏(日本福音ルーテル大江・宇土教会牧師)が旅のようすを報告する。
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2017年には宗教改革500年を迎えます。聖書協会では少し早い巡礼の旅を企画しました。宗教改革者マルティン・ルターの足跡をめぐる旅は、参加者16人で行われました。戦後70年でもあり、アウシュビッツ強制収容所跡、ポツダム、ベルリンを含む内容盛りだくさんの旅となりました。
最初の訪問地は、アウシュビッツ強制収容所跡でした。重苦しい空と小雨の降る中、その場に身を置きました。言葉も見つからない沈黙の時でした。ユダヤ人が射殺された壁でイザヤ書の朗読、祈り、献花が行われました。
深い痛みを抱えたままで、ルターの足跡をめぐる旅はヴァルトブルグ城から始まりました。ルターが幽閉された城です。いまは世界遺産となっています。旅がここから始まったことに神さまの導きを感じました。まさにこの城の一室でルターは聖書の翻訳をしました。ルターが新約聖書をドイツ語に翻訳したことが、その後の宗教改革の一つの柱となりました。民衆に神さまの言葉を取り戻したのです。聖書の翻訳がわたしたちの信仰を支えていることが確認できました。苦しみの中でこそ聖書を読むことを学びました。
その後、アイゼナハ、エアフルト、アイスレーベンを巡りながらヴィッテンベルグへと向かいました。どこを訪れてもルターと聖書がテーマです。ルターは修道院時代に詩編を徹底的に読み込んでいます。その詩編講義から「神の義」を発見し、さらに聖書に集中して宗教改革の基礎を作り上げていきました。今回の旅のハイライトは、ヴィッテンベルグ町教会での礼拝でした。ルターが説教を行った教会で、共に礼拝を守ることができました。
これから行かれる方は、徳善義和著『マルティン・ルター』(岩波新書)を片手に足跡を訪ねることをお勧めします。行くなら今でしょ!