「シャローム・モデル」実現目指して 東方敬信氏がシンポ「平和取り戻す」 2015年9月5日

 教会・聖書・人権の観点から平和を考えるシンポジウム「シャローム・モデルの実現を目指して」が7月28日、日基教団銀座教会(東京都中央区)で開催された。青山学院大学名誉教授・東方敬信氏の近著『地球共生社会の神学――「シャローム・モデル」の実現をめざして』(教文館)の刊行を記念して開催されたもので、約50人が参加した。

 藤原淳賀氏(青山学院大学地球社会共生学部教授)の司会のもと、東方、河野克也(日本ホーリネス教団中山教会牧師)、森島豊(青山学院大学総合文化政策学部准教授)の3氏が発題した=写真。

 「平和の先駆的共同体としての教会」と題して発題した東方氏は、イザヤ書11章の「狼は子羊と共に宿る」という弱肉強食を超えた平和のビジョンをイメージして「シャローム・モデル」という言葉を使用。また、21世紀の市民社会の世界をイメージする手段としてイソップ物語の「北風と太陽」を用い、軍事力を抑止力と考えるのは相手を恐れるからであり、「恐怖の風が吹いてくるような世界観」だと説明。これを脱却するには相互不信から相互信頼へと世界観を変えていかなければならないとし、武装を放棄するには相互愛が必要だと説いた。

 河野氏は「聖書における平和の実現とは」と題し、ルカ福音書、パウロ書簡、「史的イエス」から新約聖書の平和のビジョンを考察。それは平和学で言う「積極的平和」を実現するためのものでもあり、「構造的暴力を克服したような、一人ひとりの人権が尊重されていく世界を、先回りして非暴力の力で作っていくこと」だと主張した。

 森島氏は「人権思想におけるシャローム・モデル」と題して、抵抗権と人権理念の関係を論じた。日本における人権形成の課題として、抵抗権の思想的根拠がないことを指摘し、「公共の福祉」を社会の中での文化価値として設けること、それを教育によって育むことを提言した。

 最後に東方氏は、「首相は『日本を取り戻す』と言ったが壊している」と述べ、「平和を取り戻す」ことを強調した。

 

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