キリスト教とアメリカ主題にニコ生放送 森本あんり氏がジャーナリストと鼎談 2015年10月10日
宗教学者の大田俊寛氏と森本あんり氏(国際基督教大学副学長)、ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が9月18日、ニコニコ生放送で「本当は知らない〝キリスト教〟と〝アメリカ〟」と題し鼎談した。
大田氏は、キリスト教神秘思想・グノーシス主義、オウム真理教などに関する著作がある40代若手の宗教学者。2人の宗教学者に問いかけるロバートソン氏は、ペンテコステ派牧師の祖父、医師の父を持ち、親戚には「生長の家」の関係者もいるという。
インターネットで中継された鼎談は、まず映画「ジーザスキャンプ」(2006年)を解説。同映画は、ジョージ・W・ブッシュ政権下で米国福音派のベッキー・フィッシャー牧師が主宰する夏期子どもキャンプの様子を社会問題として描くドキュメンタリー作品。
作品内には中絶を容認する政府やイスラム教を「神の敵」と断じて、神のために戦うようにと扇動された子どもたちが恍惚状態になる場面もあり、公開当時、米国福音派の抱える問題として物議をかもした。しかし、森本氏は当時とは事情が変わり、単一教派としてはカトリックが一番大きいと指摘した。
「なぜ人々は原理主義を求めるのか」とのロバートソン氏の問いかけに対して、大田氏は「均衡抑制」を是とした近代社会の複雑さを受容できず、白黒を明確にしたい民衆の欲望を受け止めたものが原理主義であるが、宗教の歴史について幅広く知り学んでほしいと語った。
ロバートソン氏が、宗教や信仰に対してスポンジのように渇く「現在の日本社会にキリスト教は何を与えることができるのか」と問うと森本氏は、時間と距離をとって考えるための緩衝材を差し出すようなバッファの時間を作る「一歩引き下がる力」を提案した。
話題は米国政治から神智学、教派の違い、カルト問題、国会前のデモまで多岐にわたった。番組再生回数は約1億5千万回超。